知的財産ニュース 特許庁、2021年度予算案として6,060億ウォンを編成し、国会に提出

2020年9月9日
出所: 韓国特許庁

「強力な特許」で競争力を有する 中小企業に対し、世界市場の先行確保を支援する

・有望な中小企業が海外特許を確保できるように支援(138億ウォン)
・海外の知的財産権保護(218億ウォン)
・新型コロナウイルスの対応など、特許を基盤にした研究開発(286億ウォン)
・金融と連携した特許価値の評価(96億ウォン)
・特許担保融資の回収を支援(93億ウォン)
・標準特許の創出および必須性の検証(39億ウォン)
・退職後のシニア人材を対象にした技術創業支援など、市民参加型予算(42億ウォン)に重点投資

韓国特許庁は、2021年度予算案を6,060億ウォンで編成して国会に提出したと発表した。

※特許庁の予算(純計):(2020年)6,270億ウォン→(2021年度予算案)6,060億ウォン(210億ウォン減)

2021年度予算案は歳入項目のうち、公共資金管理基金の預託金における元金回収額の規模が減少し、2020年の予算規模よりやや縮小したが、知的財産の創出・保護などの主要事業費は2020年の本予算に比べて235億ウォン増の3,511億ウォンに編成された。

※公共資金管理基金の元金回収:(2020年)1,008億ウォン→(2021年度予算案)285億ウォン(723億ウォン減)
※主要事業費:(2020年)3,276億ウォン→(2021年度予算案)3,511億ウォン(235億ウォン増)

2021年度予算案は、(1)有望な中小企業が海外の特許を確保できるように支援および保護、(2)技術自立に向けた特許基盤のR&D支援、(3)特許担保融資の不良債権による回収支援の強化(4)標準特許の必須性検証、(5)市民参加型予算に対する投資を強化する予定である。

[重点投資の方向]

・特許や論文などの技術文献が急増し、オンラインショッピングモールを中心とした卸小売業の商標出願が増加しているため、高品質の審査および審判サービス支援に764億ウォンを編成。

※審査および審判処理支援:(2020年)750億ウォン→(2021年度予算案)764億ウォン(14億ウォン増)
※全世界における特許出願件数の累積(万件):(2008年)2,700→(2011年)3,300→(2014年)4,100→(2017年)5,000

※特許出願件数(件):(2016年)208,830→(2017年)204,775→(2018年)209,992→(2019年)218,975
※商標出願件数(件):(2016年)181,606→(2017年)182,918→(2018年)200,341→(2019年)221,507

・輸出分野において成長可能性が高い有望な地方の中小企業が、グローバル市場を先行確保できるように海外の特許確保を支援し、強力な知的財産権を創出するために2021年に820社を支援する予定である。

※グローバルIPスター企業:(2020年)118億ウォン→(2021年度予算案)138億ウォン(20億ウォン増)

・最近、韓流ブームに伴うK-ブランドの無断先取りおよび偽造商品の流通による韓国企業の知的財産における被害を最小限にするため、「海外のオンライン模倣品流通対応」を適用する国を、既存の中国からアセアンおよび台湾にまで拡大し、ロシアに 新規IP-DESKを開所する予定である。また、韓国の輸出企業が海外の特許紛争に関連する警告状に対応できるようにするなど、国際知的財産権紛争に対する対応支援も強化(370社)する。

※K-ブランドを保護する基盤を構築:(2020年)7億ウォン→(2021年度予算案)40億ウォン(33億ウォン増)
※国際知的財産権紛争への対応に向けた戦略的な支援:(2020年)99億ウォン→(2021年度予算案)108億ウォン

・営業秘密が流出された場合、民・刑事訴訟に必要な初期証拠を確保するために、被害を受けた企業のパソコン、ノートパソコンなどのデジタルフォレンジック(※)の実施を支援する。企業関連の訴訟では、メールなどのデジタル証拠確保の重要性が高まり、中小企業の営業秘密に対する対応支援を強化する予定である。

※デジタル機器を媒介に発生した特定行為の事実関係に、法的証拠力を持たせるように糾明し、証明するための手続きと方法
※営業秘密が流出され被害を受けた企業の98%が、証拠確保への困難を経験

・素材・部品・設備分野の技術自立に向けた、中小・中堅企業の特許基盤のカスタマイズ型特許戦略(IP-R&D)は持続的に支援し、感染症対策、非対面技術などのポストコロナ時代における成長エンジンになる分野に対するR&D課題も拡大支援する。

※特許を基盤にした研究開発の戦略的な支援(IP-R&D):(2020年)228億ウォン→(2021年度予算案)286億ウォン(58億ウォン増)

・中小・ベンチャー企業に対する資金調達支援も拡大される。知的財産金融の市場規模(2019年)が1兆3,500億ウォンの規模まで成長し、中小・ベンチャー企業が特許を担保にして事業化資金を調達することができるよう、特許価値の評価費用を支援するために予算を増額編成した。

※知的財産金融の規模:(IP担保)4,331億ウォン、(IP保証)7,240億ウォン、(IP投資)1,933億ウォン
※知的財産評価を支援:(2020年)72億ウォン→(2021年度予算案)96億ウォン(24億ウォン増)

特許担保融資後に債務不履行が発生した場合、政府・銀行が共同出捐金で担保を買い入れ、銀行の回収リスクを軽減するために、担保の産業財産権に対する買い取り・活用事業についても増額編成した。

※担保の産業財産権に対する買い取り・活用:(2020年)38億ウォン→(2021年度予算案)93億ウォン(55億ウォン増)

・市民参加型予算として3つの事業、42億ウォンを新たに編成した。退職後のシニア人材を対象に特許を基盤にした技術創業を支援(40チーム)し、人工知能技術を特許ビッグデータ分析に活用して産業・経済発展における戦略の確立を支援する。また、小中高校の発明教育センターの教育環境も改善(10ヵ所)する。

※退職後のシニア人材を対象に特許を基盤にした技術創業を支援(17億ウォン)、特許を中心にした有望なR&D分野の診断および活用基盤の構築(15億ウォン)、発明教育センターの最新化(9億7,000万ウォン)

特許庁が国会に提出した「2021年度予算案」は、国会審議を経て、2020年12月上旬に確定される予定である。

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