知的財産ニュース 台湾における微生物特許を簡単に取得できる道が開かれる

2020年8月31日
出所: 韓国特許庁

韓国国内の特許微生物寄託だけで、台湾に特許出願できるようになる

台湾に微生物に関する発明を特許出願し、その事業の進出を図っているA企業は、ブダペスト条約により公認された、韓国内の国際寄託機関に該当微生物を既に寄託したにもかかわらず、台湾がブダペスト条約の非加盟国であったため、台湾の寄託機関に再び微生物を寄託しなければならない。そこでA企業は、台湾の寄託機関に微生物を寄託することから発生する複雑な手続きや寄託および配送にかかる追加費用などの理由で台湾進出に悩んでいる。

韓国特許庁は、台湾特許庁と微生物寄託相互認定協力の了解覚書(MOU)を締結し、特許出願において、韓国または台湾の微生物寄託機関に寄託された微生物の寄託を互いに認定する制度を9月1日から施行すると発表した。

微生物に関する発明は、特許出願の際に、該当微生物を「特許法」および「ブダペスト条約(※)」に基づいて公認された機関に寄託しなければならず、韓国国内の特許出願の場合は、特許庁が指定した「国内寄託機関」に、国際特許出願の場合は、WIPOが承認した「国際寄託機関(※※)」に寄託しなければならない。

※「特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約」(1980年8月発効) ※※韓国は国内寄託機関と国際寄託機関が同一(韓国生命工学研究院の微生物資源センター(KCTC)、韓国微生物保存センター(KCCM)、韓国細胞株研究財団(KCLRF)、農村振興庁の農業遺伝資源センター(KACC)の4ヵ所)

しかし、「ブダペスト条約」の非加盟国である台湾で韓国の出願人が微生物に関する発明を台湾に特許出願する際には、韓国の寄託機関に特許微生物を寄託しても、台湾の寄託機関に改めて寄託しなければならないという負担があった。

韓国特許庁は、台湾特許庁と2019年8月から交渉を開始し、韓国の寄託機関に微生物を寄託した場合には、台湾で再び寄託する必要なく、特許出願ができるようにする微生物寄託相互認定制度を新たに施行することになった。

台湾は最近、高齢化および寿命延長のために保健医療に対する重要性を認識し、バイオメディカル産業を集中育成すべき産業として指定、関連産業の発展に取り組んでいる。

そのため、関連分野の韓国企業も台湾への進出を図っており、韓国企業の台湾に対する微生物寄託特許も2015年から2019年まで79件で、2010〜2014年の同期に比べて6倍以上増加した。

特許庁の特許審査企画局長は、「韓国-台湾の微生物寄託相互認定制度の施行は、バイオ分野における韓国企業の台湾進出への利便性を大幅に増進させることが期待されている」、「今後も特許庁は、韓国の出願人の海外進出を支援するために国家間の特許制度の違いについて細かいところまでチェックし、その格差を縮めるよう努力する」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195