知的財産ニュース カンボジアに続き、ラオスでも韓国特許の無審査登録が可能になる

2020年6月30日
出所: 韓国特許庁

特許庁、天然薬材が豊かなラオスと審査協力を強化

韓国特許庁は6月29日、ラオス知的財産局と特許認定協力のMOUを締結し、韓国で登録された特許について、ラオスで別途審査をせず登録を認める制度(Patent Recognition Program、PRP)を7月1日から施行すると発表した。

今後ラオスに進出する韓国企業は、韓国で登録された特許と同一のラオスでの特許出願に対し、簡単な書類を提出するだけで6ヵ月 以内に登録を受けることができるようになった。

特許庁は、2019年8月にカンボジアと特許認定制度のMOUを最初に締結し、2019年11月から本制度を施行、それによる第1号のカンボジア特許が登録された事例がある。ラオスは韓国で登録された特許を自動的に認める2番目の国となった。

このような特許審査協力プログラムは、日本と中国がそれぞれ2016年と2018年からカンボジア、ラオスと進行しており、それに比べて韓国は2017年になってから議論を始めたにもかかわらず、2019年、2020年と、連続で2ヵ国と特許認定協力を締結する成果を収めたという点で意味がある。

本制度が施行されれば、ラオスへの進出を希望する韓国企業が優遇を受けることができると期待している。

ラオスは15歳以上64歳以下の経済活動人口が全人口の60%を上回る若い市場で、ここ3年間6%以上の経済成長を遂げており、同期間の韓国企業のラオス投資金も年平均約1億ドルに達するほどに成長した。

特許認定制度は、韓国で特許を登録した企業が、ラオスで速やかに特許を登録し安定的に市場に参入できるようにすると予想している。

一方、新型コロナウイルス治療薬の開発が注目を集めている現時点で、ラオスとの知財権協力の重要性はますます高まっている。

韓国は天然薬材を主に中国から輸入してきたが、名古屋議定書(※)発効後、中国は自国の資源流出を避けており、中国に次ぐ天然資源を保有しているラオスとの協力強化が重要な時期である。

※生物の遺伝資源を利用する国は、その資源を提供する国から事前通報と承認を受けなければならず、遺伝資源の利用から生ずる利益は共有するという内容の国際条約(韓国は2017年8月17日に発効)

これまで特許庁は、2019年11月にラオスと知財権包括協力MOUを結び、ラオスに弁理士制度を導入するためのコンサルティングを実施し、ラオス知的財産局の公務員を対象に知財権教育を提供するなど、ラオスの知財権能力の強化に力を入れてきた。

このような特許庁の努力は、特に天然資源を利用して、新型コロナウイルス治療薬などを開発し、それを海外に輸出しようとする企業に大きく役立つと期待される。

韓国特許庁長は、「今後、ラオス以外の新興国に知財権のインフラ構築支援を拡大していく計画である」とし、「このような努力は、韓国企業の進出地域を拡大させるだけではなく、知財権のグローバルでの均衡発展を早める効果をもたらす」と期待を示した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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