知的財産ニュース 第55回発明の日の記念式を開催

2020年6月24日
出所: 韓国特許庁

「大韓民国の確実な変化に知的財産がともにします」をテーマに開催

「金塔産業勲章」を受賞したSKハイニックスの社長など発明有功者79名を褒賞

「今年の発明王」にLGディスプレイのチームリーダーを選定

韓国特許庁が主催し、韓国発明振興会が主管する「第55回発明の日」の記念式が6月24日(水曜)午後3時にソウルの63コンベンションセンターで開催された。

発明の日の記念式は、発明に貢献した方々に授賞し、発明家の意欲と国民の発明意識を高めるため、1957年から毎年開催される国レベルの行事である。

※発明の日の法定記念日は毎年5月19日であるが、2020年度は新型コロナウイルスの影響により、1ヵ月ほど遅れて開催された。

「大韓民国の確実な変化に知的財産がともにします」をテーマに開催された記念式には、チョン・セギュン国務総理、イ・ジャンソブ国会議員、ジョン・サンジョ国家知識財産委員長をはじめ、発明関連団体長、発明家など約100名が参加し、国の産業発展に寄与した発明有功者79人に対する褒賞と最高のイノベーション発明家に与えられる「今年の発明王」の授賞が行われた。

記念式の現場は、安全な行事進行のために参加規模を最小限に縮小し、新型コロナウイルスに対する防疫措置が徹底的に行われた。事前消毒・防疫はもちろん全参加者を対象に、防疫キューブを利用した非接触発熱チェックおよび消毒(※)、個人間の距離維持(2.5m以上)のための動線別の地面ステッカー、座席指定制などが運営された。

※「第55回発明の日の記念式」参加者の入場方法(体温37.5℃以上は入場不可):防疫キューブの非接触入出統制端末で正常体温を確認してから、人体無害成分の殺菌煙霧機が作動する防疫キューブを通過(1人当たり約10秒)→防疫キューブを通過した参加者は、マスク、ビニール手袋などが入った防疫キットを受け取り、入出安心ステッカーを付着

今回の記念式では、最高の栄誉である金塔産業勲章は、SKハイニックスのジン・ギョウォン社長が受賞した。ジン社長は35年以上メモリー半導体開発業務を担当し、韓国のメモリー半導体の世界的名声を維持することに貢献したことが認められた。

銀塔産業勲章は、宇宙エレクトロニクスのノ・ヨンベク会長とサムスン電子のファン・ユサンFellow(サムスンの研究分野最高職位)に授与された。ノ・ヨンベク会長は、世界初の有無線急速充電バッテリーの開発および多数の超小型コネクタ(Connector)を開発し、国家競争力の向上に貢献した。ファンFellowは、世界最高の微細化技術を開発し、韓国のDRAM産業で世界1位を確保することに貢献した。

その他、銅塔産業勲章は、HURUMのキム・ジンソク代表取締役とRexGenのアン・スンヒョン代表取締役が受賞した。キム・ジンソク代表取締役は、非電気式ヨーグルト製造機の発明と技術移転・事業化の成功により国家産業の発展に貢献した。アン・スンヒョン代表取締役は、画像認識による交通情報収集の基盤技術を発明し、国家交通システムの高度化に貢献した。

また、一年間、新技術研究開発およびクリエイティブな活動により科学技術分野の鑑となった「今年の発明王」には、LGディスプレイのキム・インジュチーム長が選定された。世界初のローラブル(Rollable)OLED TVのコア技術および製品開発に貢献した点が高く評価された。

2020年発明の日の記念式では、発明有功者に対する授賞式に加えて、発明品の展示館が設置された。受賞者の主な発明品を展示するだけでなく、「発明で克服する災害危機、K-防疫」というテーマで特別展示が行われた。

受賞者の発明品は、世界市場をリードする次世代技術や製品が大部分を占めた。世界初の画面を巻いたり広げたりすることができるディスプレイパネル技術が適用された、ローラブルOLED TV、車やスマートフォン用の超精密コネクタおよび電気自動車の充電通信モジュール用(EVCC)のコネクタ、10ナノ級の微細工程を適用したDRAMを使う製品などや年齢変換が可能な3Dモンタージュおよび3D顔認識技術が展示された。また、2019年に、日本の対韓輸出規制に対応した素材・部品・設備の国産化成功事例として、半導体生産工程に使われる材料である高純度フッ化水素(※)の製造過程も展示された。

※フッ化水素:半導体のエッチング工程(回路のパターンのうち不要な部分は削り出す工程)と不純物除去の過程に使われる気体

当行事と一緒に行われた特別展示には、コロナ危機のなかで活躍しているK-防疫発明品が紹介された。K-ウォークスルー、移動検査所という名称で世界の注目を集めたグローブボックス、感染を診断する診断キットおよび診断試薬など、海外に輸出されているK-防疫製品が展示された。また、新型コロナウイルスに関する治療薬・ワクチン、診断・検査、防護・防疫などの韓国内外での最新特許動向をリアルタイムで公開している特許庁の「新型コロナウイルスの特許情報ナビゲーション」も展示されて観覧客の目を引いた。

特許庁長は、「新型コロナウイルスにより国民が厳しい状況に陥っているなか、発明の力で危機を乗り越えなければならない」とし、「韓国のクリエイティブなDNAで危機を機会に変え、ポストコロナ時代の発明文化を拡大するため全力で支援していく」と述べた。

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