知的財産ニュース 特許庁、商品形態の模倣に関する不正競争行為の増加に積極的に対応する計画

2020年6月22日
出所: 韓国特許庁

ブランド品の模倣品制作を教える革工房、不正競争防止法に違反

ナ名品(仮名)氏は、先日、ドラマの主人公が持っていたブランドバックが欲しくてたまらなくなった。どうすればバッグを得られるか悩んでいるうちに、ナ模倣氏から「〇〇革工房に行ってみれば」という話を聞いて、直接訪問したところ、①受講料を払ってワンデークラス(one day class)を受講したり、②半製品のバッグ組み立てキットを購入すると1/10の価格でブランド品のバッグとほぼ同じデザインの模倣品が製作できるということを知って、心の中で歓声を上げた。しかし、〇〇革工房の代表は「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」に違反し、特許庁の不正競争行為申告センターに申告されて、直ちに調査官から調査を受ける予定である。

最近、L世代(Luxury-Generation)と呼ばれる若年層を中心に、ブランド品の人気がますます高まっている。このような状況を利用して、一部の革工房では工房独自の製作活動よりブランド品の模倣行為が盛んになっている。

これらの工房では、ブランド品のデザインを模倣して完成した偽物のバッグを広告しながら、受講生が直接製作してみる講座を運営し、半製品の組み立てキットを販売して収益を出していることが分かった。

新型コロナウイルスの非常事態のため受講生が減少したこと、それにより新たな創作にかかる時間・コストの投資が難しくなったことと若年層のブランド品を好む現象がかみ合い、簡単に利益を取ろうとする工房の営業形態にまでつながったと把握している。

しかしながら、このような行為は「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」(以下「不正競争防止法」という。)に違反する可能性が高いだけでなく、商標法、デザイン保護法にも抵触するため、格別の注意を払う必要がある。

特許庁の調査結果により、不正競争防止法を違反すると判断された場合、是正勧告を受けることもあり、起訴された場合には、3年以下の懲役または3,000万ウォン以下の罰金という刑事処分を受けることもある。

特許庁の不正競争行為申告センターに受け付けられた申告類型を見ると、商品形態の模倣およびアイデア奪取が多数であり、特に最近では、上記の事例を含む商品形態模倣に関する申告が増加している。

実際、2020年6月上旬に申告センターに受け付けられた内容も革工房に対する制裁要求の件であり、商品形態模倣に関する申告は、前年同期比で約2.6倍に達している。

一方、申告者の類型別では、零細企業である中小企業および個人が全体申告の85%を占めており、商品形態模倣およびアイデア奪取などに対する行政調査制度は、経済的弱者のための有用な権利救済手段として位置づけられていると、特許庁は評価している。

不正競争行為申告センターの現況

特許庁の産業財産調査課課長は、「最近、新型コロナウイルスの状況の中で、ブランド品の人気向上により健全な取引秩序を乱す商品形態模倣行為が大幅に増加している」とし、「基本的に商品形態模倣は、他人が相当な時間と費用をかけて開発した商品の認知度にただ乗りする行為であるため、特許庁は、商品形態模倣など不正競争行為に対して厳正かつ積極的に対応していく計画である」と意見を示した。

<特許庁の不正競争行為調査チーム>

特許庁は他人の商品標識・営業標識の混同を生じさせる行為、アイデア奪取行為、商品形態模倣行為など、不正競争行為を防止し、健全な市場秩序を維持するため、2017年2月から「不正競争行為調査チーム」を拡大運営している。 不正競争行為調査チームは、特許庁ウェブサイトの「産業財産侵害及び不正競争行為申告センター」を通じて不正競争行為の申告を受けており、拡大発足してから約1年が経った2019年3月に申告件数が100件を、2020年6月条中には200件を超えている。 申告者に制限がなく、他の救済手段より手続きが簡略であり、訴訟においても経済的で処理期間も短いのが申告件数の増加要因であると把握している。

※(申告)特許庁ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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