知的財産ニュース 未来競争力で優位に立つためには、大規模な半導体素材分野の優秀人材育成が必要

2020年6月15日
出所: 韓国特許庁

#1 韓国国内の半導体メーカーにフッ化水素を供給していたSoulbrainは、2019年7月、日本の対韓輸出規制により大きな打撃を受けた。顧客社への納品に支障が生じると、国内の半導体産業全般に危機を及ぼす状況になりかねない。幸いに、Soulbrainは2020年1月に、政府支援と独自の技術力で12N以上の液体フッ化水素の大量生産および国産化に成功して滞りなく供給することができた。

#2 LG化学は2020年の第1四半期に、グローバル電気自動車のバッテリー市場で世界1位を占めた。「カーボンナノチューブ(CNT)」は、電気・熱伝導率が銅と同じ水準であり、強度は鉄鋼の100倍に達する夢の新素材としてバッテリー、半導体、航空機胴体などに使用される。LG化学は2021年第1四半期までにCNTの生産能力を3倍以上強化し、グローバル電気自動車のバッテリー市場の先頭に立つ計画である。

日本の対韓輸出規制から7ヵ月が経った時点で、12N(12nine)以上の液体フッ化水素の大量生産および国産化に成功したSoulbrain と、2020年の第1四半期にグローバル電気自動車のバッテリー市場で27%シェアを占めて世界1位になったLG化学は、両社とも素材分野で先頭を走っている素材開発の中心企業である。

全産業の基礎になる素材部門からイノベーションを強化することで、韓国国内の産業全体における競争力を引き上げられるという意見が台頭し、それに関連するフォーラムが開催され、注目を集めた。

韓国特許庁の素材技術研究会は6月15日の午後2時に、政府大田庁舎でパク・ボムケ国会議員と「知的財産と共に、大韓民国の素材イノベーション能力強化に向けた戦略フォーラム」を開催した。

議題の発表者であるソウル大学材料工学部の教授は、半導体素材分野における優秀人材の大規模な育成を通じた超・格差の維持および新・格差の創出こそ、韓国が生き残る方法であると強調し、長期的な観点から基盤技術の確保に向けた投資と技術を重視する社会的な雰囲気を確立する必要があると述べた。

パネルディスカッションでは、素材開発、新素材の開発、インフラ構築など、幅広い分野で素材のイノベーションに向けた専門家の提言(※)が行われた。


・素材部品の国産化に向けた韓国企業のR&Dおよび設備投資が成功するよう継続的な支援が必要
・次世代フォトレジストの開発と安定した生産に向けた技術開発および人材育成への支援が必要
・効率的な新素材を開発するための素材データDBを構築し活用
・顧客価値創出のために差別化した技術で製品の構造高度化および将来市場への準備
・新素材の評価および測定体系の構築、多目的放射光加速器の構築など、素材開発に向けたインフラ構築
・特許ビッグデータを活用した、緻密な特許ネットワークの構築など

パク・ボムケ国会議員は、「全産業の基礎となる素材分野でイノベーションを起こすためにフォーラムを主催した」とし、「大田・忠清圏所在の、半導体・ディスプレイ、バッテリーの核心素材企業、清州に建設する予定の放射光加速器、大田に設置する『素材イノベーションプラットフォームセンター』を三つの軸とし、素材イノベーションを加速化するよう積極的に支援する」と述べた。

特許庁長は、「特許ビッグデータは、全世界の産業トレンドを把握することはもちろん、将来の有望な技術も予測できる資料である」とし、「6月18日に開所するAI基盤の『国家特許ビッグデータセンター』は、知財基盤の素材イノベーションをサポートすることに大きな役割を果たすはずだ」と述べた。

今回のフォーラムには、Soulbrain、Dongjin Semichem、PI先端素材、LG化学、韓国化学研究院、韓国標準科学研究院、基礎科学研究院、韓国基礎科学支援研究院、韓国産業技術評価管理院など、素材イノベーション企業と関連機関が参加した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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