知的財産ニュース 新型コロナウイルスにより、地上波・映画館の代わりにOTTが人気

2020年6月8日
出所: 韓国特許庁

ここ5年間のOTTサービス関連の商標出願が大幅に増加

新型コロナウイルスのため、在宅勤務をしている30代の会社員A氏は、映画館に行かずにネットフリックスで映画を観て、見逃してしまったドラマを視聴する。学校に行けなくなった大学生のB氏は、YouTubeで1人のクリエイターが放送するチャネルを視聴し、IP放送で英語講座を受講、新型コロナウイルスの危機を賢く乗り越えている。時間と場所を問わず、必要なコンテンツを提供するOTT(Over the Top)サービスが新型コロナウイルスによる非対面文化の拡散とともに人気を集め、OTT商標出願も最近著しく増加していることが分かった。

※OTT(Over the Top):「セットトップボックスを飛び越えて」という意味を持っているが、インターネットで番組、映画、教育などの各種メディアコンテンツを提供するTVサービスを包括する意味で使われている

韓国特許庁によると、OTTサービス業の商標出願が2015年の1,777件から2019年の3,735件へと2倍以上大幅に増加しており、ここ5年間(2015〜2019年)の年平均の増加率は、約21%となった。

※OTTサービス業(38類):インターネットを利用するストリーミングサービス業、オンラインコンテンツの送受信のためのデジタルファイル配信業、インターネットを利用した動画の提供業/配信業/ストリーミング業、ビデオオンデマンド配信業など ※※ここ5年間の商標出願、OTT統計は多類(多区分)の商標基準

特に、2020年1月から4月まで、新型コロナウイルスによる経済低迷により全体の商標出願は、2019年同期の99,090件に比べ3.3%減少したが、OTTサービス業の商標出願は、1,125件から1,740件に54.6%も増加したことが分かった。

ここ5年間商標の全体出願件数、OTTサービス業の出願件数

ここ5年間、経済主体別におけるOTTサービス業商標出願の割合を見ると、中小・中堅企業が46%、個人32.3%、大企業11.4%、海外出願7.1%、その他2.5%の順であり、中小企業と個人が高い割合を見せている。

WAVVE、WATCHA PLAY、POOQなど、韓国のOTT企業の商標出願が目立つが、2015年の1,158件から2019年の1,893件に増え、全体のOTTサービス業の商標出願件数(13,687件)の55.9%を占めた。ネットフリックスを中心とする海外企業も顧客になじみのあるディズニーチャンネル・Apple TV・HBO(米国)、LeTV・IQIYI(中国)などに商標を出願したことが分かった。

個人の場合に、最近、AFRICA TV(韓国)やYouTubeなどを活用した1人クリエイターのブームにより、OTTサービス業関連の商標出願(2015年458件→2019年1,545件)につながったものと判断される。

また、OTTサービス業に対する商標出願とともに、関連するソフトウェア、モバイルアプリの商品などに対する出願も同じく、2015年1,754件から2019年3,222件へと増加傾向を見せている。

※OTTサービスサポートの関連商品やサービス業:ストリーミングデバイス用のコンピュータソフトウェア、マルチメディアコンテンツの配信および放送用コンピュータソフトウェア(9類)、マルチメディアコンテンツの処理および分配のためのソフトウェア開発業・提供業(42類)など

このような傾向は、OTTサービスのプロバイダーがOTT技術に関する商品の重要性を認識し、サービス業と商品を同時に商標として確保しようとするためであると分析される。

特許庁の商標デザイン審査局長は、「5Gサービスの拡大、新型コロナウイルスによる非対面生活の拡大などにより、OTTサービス市場がさらに成長し、それに基づくOTT関連の商標出願も増加すると見込んでいる」とし、「OTT事業を始める前に、事前に使用する商標を関連サービス業と商品に対する出願を行い、商標紛争の被害を防ぐ細心な戦略が必要である」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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