知的財産ニュース 公益弁理士、社会的弱者の商標権を守る心強いパートナー

2020年5月6日
出所: 韓国特許庁

審判および訴訟を無料で直接代理、勝訴率は76%

#1 掃除用スリッパを生産・販売するチョ代表は、「ウルトラマジックブロック」という登録商標で営業活動を行っていた。ところが、「マジックブロック」が慣用商標(※)であるため、「ウルトラマジックブロック」も商標権の効力が及ばないと主張しつつ営業をしてきたK氏との紛争に巻き込まれた。チョ代表は「公益弁理士特許相談センター」の支援を受け、3年間で計3回の弁論および計14回の書面資料を提出し、今年3月に大法院の勝訴判決が下った。

※同種業者の間で、その商品の名称などを一般的に使用した結果、「その商品自体を指す商標」と認識され、識別力を喪失した標章

#2 2014年から韓国釜山で「マンゴーモンスター」という商標でカフェを運営していたイ代表は、グローバル企業の「モンスターエナジー」が請求した商標登録無効審判などの商標権紛争に巻き込まれ、訴訟費用の負担で苦労した。放棄しようとしたが、ある日、「公益弁理士特許相談センター」を知り、特許審判院から大法院までの審判・審決取消訴訟2件に対する直接代理の支援を全額無料で受けて2017年に最終審となる大法院で勝訴し、「マンゴーモンスター」の商標権を守ることができた。

韓国特許庁が運営する「公益弁理士特許相談センター」は、12名の公益弁理士が零細事業者、基礎生活受給者(生活保護対象者)など社会的弱者の特許、商標などに関する紛争が起こった際、審判および審決取消訴訟などの代理サービスを無料で提供する。

2016年に109件、2017年に120件、2018年に136件、2019年に134件の審判および訴訟を無料で直接代理し、2020年4月基準で76%の勝訴率を記録している。チョ代表の事例のように、直接代理により特許審判院から大法院まで最終勝訴した事例は、合わせて7件である。

また、特許、実用新案などの出願方法や書類の作成が難しい社会的弱者に、2017年に383件、2018年に475件、2019年に489件の明細書、補正書など出願および登録関連書類の作成を支援した。

公益弁理士の支援を受けたチョ代表は、「商標権をめぐり、さまざまな会社との紛争を経験し、事業が混乱していた」とし、「公益弁理士の支援なしでは、掃除用スリッパの商標権を認めることができなかったはずである」と感謝の言葉を伝えた。

特許庁の産業財産保護協力局長は、「零細事業者など社会的弱者の場合、商標権などの紛争に巻き込まれたとき適切に対応できないため、「公益弁理士特許相談センター」と相談し、審判‧訴訟・直接代理などの無料弁理サービスを積極的に活用してほしい」と強調した。

一方、「公益弁理士特許相談センター」が支援する対象の確認、支援内容、手順などの詳細については、「公益弁理士特別相談センター」の代表電話(+82-2-6006-4300)、またはウェブサイト(www.pcc.or.kr)で確認することができる。

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