知的財産ニュース 中小企業の知財権に対する苦情、審査官が支援する
2020年4月9日
出所: 韓国特許庁
特許庁、審査官が企業の知財権コンサルティングを実施
韓国特許庁は、審査官が中小企業の知的財産権(Intellectual Property Right)に関する苦情について、直接コンサルティングを提供する、仮称「中小企業-審査官の共存プロジェクト」の試行を推進すると発表した。
当事業は、知財権への関心とその重要性に対する認識がますます高まっている一方、人材、資金、情報不足などにより知財権能力が脆弱な中小企業を支援するために施行するものであり、特許庁の審査官も書類だけ審査する環境から脱皮し、企業の現場技術を体験できる機会を持つことで技術への理解度を高め、審査品質を向上できるものと期待される。
審査官は、個々の企業が必要とする知財権の苦情を把握してコンサルティングを行う予定であり、知財権教育(法制度、職務発明など)、特許検索および活用方法、出願(件)の相談など、審査官が現場ですぐに実施できる事案は、その場で対応し、特許(動向)調査分析、知財権連携の研究開発戦略確立、IP事業化および紛争対応など、そうでない事案は、特許庁が提供する関連知財権支援事業(※)などを紹介し、企業の必要に応じてこれらを遂行する関連機関(韓国特許戦略開発院、韓国発明振興会、地域知識財産センターなど)と連携して支援する。
※知財権連携の研究開発(IP-R&D)戦略策定、知財活用戦略支援、IP事業化連携の評価支援、国際知財権紛争対応の戦略支援など、知財権の創出・活用・保護などに関する約40以上の事業 (特許庁ウェブサイト、「www.kipo.go.kr>政策業務>支援施策」を参照)
審査官が行うコンサルティングは無料で、知財権連携の研究開発(IP-R&D)戦略確立など、一部の知財権支援事業は、企業分担金を必要とするため有料である。
この試行事業の対象は、2019年の日本の韓国に対する輸出規制などにより関心が高まった、素材・部品・設備産業の工作機械分野を優先的に選定し、この分野のコンサルティングを希望する企業は、韓国工作機械産業協会を通じて2020年2月に事前調査を行い、上半期に7社を対象にしてコンサルティングを実施する計画である。
当初このコンサルティングは、4月から審査官が中小企業の現場に直接訪問して実施する予定だったが、新型コロナウイルス危機のため、優先的に電話、電子メールなどの非対面方式を活用し、危機的状況が終わりしだい、中小企業の現場を直接訪問して具体的なコンサルティングを完了していく予定である。
コンサルティングを行う審査官は、該当企業の技術分野の担当審査官で構成し、審査官が技術開発の現場で経験したことを審査実務に活用させる方針であり、今後の企業満足度評価など試行事業の結果をもとに他の技術分野への拡大などを検討していく予定である。
特許庁の機械金属技術審査局長は、「中小企業は、グローバル競争力を備えるために、IPを基盤にした成長が重要である」とし、「今回の事業が、中小企業のIPに対する苦情を解決し、審査官の審査業務にも役立つことができる肯定的な協力事例になることを期待している」と述べた。
[添付]「中小企業‐審査官共存プロジェクト」構想図
審査官は企業のIP関連苦情についてコンサルティング(直接遂行+連携支援)を行い、企業は審査官に現場体験の機会を提供することで、企業はIP競争力を高め、審査官は審査能力を向上できる協力策
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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