知的財産ニュース 特許審判院、2020年に高品質審判へと転換
2020年4月9日
出所: 韓国特許庁
特許審判、2019年は期間短縮、2020年には品質向上
韓国特許庁の特許審判院は、2019年は処理期間の短縮と待機物量の解消に集中してきたが、2020年には審理の充実性を強化し、品質向上に全ての能力を集中すると発表した。
審判処理期間の遅延により発生する深刻的な問題を解消するために、2019年の初めから非常態勢を稼働した。
審判政策支援部署のマンパワーが一時的に審判業務をサポートし、審判業務の長期経歴者を優先的に配置、審判種類別処理指針の策定など、処理の効率を向上させるための制度改善および審判部の努力により、前年比多くの事件を処理した。
その結果、審判処理期間は12ヵ月(2018年末)から8.8ヵ月(3月末)に3.2ヵ月短縮され、待機物量も10,675件(2018年末)から6,027件(3月末)に44%が減縮された。
| 区分 | 特・実(当) | 特・実(決) | 商・デ(当) | 商・デ(決) | 計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2018年➡2019 年 ➡2020年3月 (増減) |
8.3➡7.4 ➡8.0 (△0.3) |
16.3➡11.9 ➡11.0 (△5.3) |
8.8➡7.3 ➡5.8 (△3.0) |
13.1➡9.2 ➡9.5 (△3.6) |
12.0➡9.6 ➡8.8 (△3.2) |
※ 特・実:特許・実用新案、商・デ:商標・デザイン
当:当事者系(無効審判など)、決:決定系(拒絶決定不服審判など)
このような量的改善に基づき、2020年は審判品質の向上など質的な改善に向けた特許審判院の計画を見ると、
1.充実した証拠調査に基づく審判品質の向上
(1)(口頭審理の拡大)これまでの審判は書面中心だったが、これからは両当事者がいる無効審判などについては口頭審理を原則とし、段階的に拡大していく予定である。
ただし、新型コロナウイルスによるソーシャルディスタンスを考慮し、遠隔で行う映像口頭審理を積極的に活用している。
(2)(審理の強化)口頭審理で争点がまとまらなかったため、充実な審理が進行できず、何回も開催されるという問題があった。
それを受け、審判官が口頭審理を開く前に争点を事前に整理した争点審問書を送付して、両当事者が十分な準備と対応ができるようにした。
2.審判手続の透明性・公正性の向上
(1)(審判事件説明会の記録)口頭審理とは異なり、審判事件の説明会で、当事者が関連内容の記録を確認することができないという問題があった。
そのため、説明会を開催する際に主な内容を記録して両当事者が確認し署名することにより、今後の証拠資料として活用できるようにした。
(2)(権利者の防御権保障)小企業など社会的・経済的弱者が、速やかに行われる迅速・優先審判にまともに対応できない問題があった。
それに対して、社会的・経済的弱者が答弁書や意見書を提出しない場合、最終審決の前に意見書や資料を提出できる機会を与えた。
3.審判の迅速性・効率性向上
(1)(迅速審判の拡大)無効事件が法院(裁判所)で係留中の場合、権利者は権利範囲を縮小して無効を回避するために、訂正審判を数回請求することができるが、従来は最初に請求した訂正審判のみ迅速審判の対象であった。
しかし、これからは最初の訂正審判ではなくても、特許法院に新たな証拠が提出され、必要であると認められる場合、迅速審判で処理する予定である。
(2)(早期着手)特許取消申請は、特許登録後6ヵ月以内に、誰もが欠陥のある特許に対する早期取消ができたが、従来は審理が6ヵ月以降から開始され、むしろ長期化するという問題があった。
しかし、これからは6ヵ月以前であっても、権利者が申請すれば取消申請事件に着手し、取消の可否を早期に決定するようにした。
特許審判院長は、「特許権の安定性と予測可能性は、イノベーション企業の投資と取引を活性化させる重要な基盤である」とし、「そのために審判の一貫性を高め、口頭審理および証拠調査など、法院の審理手続に準ずるよう審理の忠実性を大幅に強化していく」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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