知的財産ニュース 2019年の海外特許出願「急増」、過去6年間で最大上昇幅

2020年3月25日
出所: 韓国特許庁

韓国企業、積極的な海外特許確保に乗り出し、前年比の海外出願は10.9%増加、海外登録も8.8%増加

韓国企業と国民が海外販路開拓とグローバル市場の優先確保するために、海外に出願した特許件数が著しく増加したことが分かった。

韓国特許庁によると、2019年に韓国企業がIP5(※)の4ヵ国を対象にして出願した海外特許出願件数(※※)は、計66,792件で、2018年の60,186件より10.9%増加し、2014年以降最大の上昇幅(※※※)を記録したと調査(暫定値)された。

図1

※IP5(Intellectual Property5):世界の特許出願の80%を占める米国・中国・欧州・韓国・日本の特許庁による枠組み ※※韓国人が出願した全体の海外特許出願のなかで、IP5に対する特許出願の割合は約88.7%であり、海外特許出願の大半を占めている ※※※ここ5年間、韓国人のIP5海外特許出願件数の増加率(%):(2015年)4.37→(2016年)0.64→(2017年)△5.08→(2018年)0.42→(2019年)10.98

韓国企業の海外特許出願現況を国別でみると、米国に計36,852件(8.5%増)を出願し、全体のおよそ半分(55.1%)を占めており、その次に中国16,019件(15.4%増)、欧州8,287件(13.8%増)、日本5,634件(11.1%増)の順であると調査された。

特に、米国での出願は、2016年以降の下落傾向から、2019年に著しくリバウンド(8.5%増)していることが分かった。

※韓国人の米国での特許出願増加率(%):(2015)3.98→(2016)△2.26→(2017)△4.75→(2018)△4.51→(2019)8.51

一方、2019年の韓国企業のIP5海外特許登録件数は計42,306件であり、2018年の38,860件より8.8%増加した。

韓国企業の海外特許登録現況を国別でみると、米国で計21,684件(9.6%増)が登録され、全体のおよそ半分(51.2%)を占めており、その次に中国9,437件(9.4%増)、欧州7,247件(15.8%増)、日本3,938件(6.2%減)の順で登録されていると調査(暫定値)された。

特に、欧州と中国での特許登録の増加率は、ここ5年間、年平均でそれぞれ39.1%、10.9%の割合で急増している。

図2

※韓国人の欧州での特許登録率(%):(2015)5.07→(2016)61.39→(2017)38.54→(2018)40.85→(2019)15.80 韓国人の中国での特許登録率(%):(2015)35.33→(2016)18.33→(2017)6.03→(2018)9.74→(2019)9.43

このような海外出願と登録の急増は、韓国企業が海外の知的財産権を優先的に確保することにより、海外市場進出の橋頭堡を設け、グローバル市場での韓国の技術と製品を確実に保護するため、積極的に乗り出したからであると把握している。

これまで、韓国の中小‧ベンチャー企業は、優秀な特許製品を開発しても資金不足、言語障壁、現地情報やネットワークの不足により、海外の知的財産権確保に簡単にはチャレンジできなかった。

特許庁は、海外市場進出に苦労している企業を支援するために、2019年に国家レベルでの海外知的財産確保戦略(※)を設け、中小‧ベンチャー企業の海外出願費用の支援(※※)および特許バウチャーの支給、知的財産(IP)出願支援ファンドの組成や投資、特許共済などを推進してきた。

※「海外特許確保方策(2019年6月)」と「海外知的財産の拡大‧保護ロードマップ(2019年7月)」の策定と推進 ※中小企業の海外出願へのハードルが高い理由として費用負担(82%)を指摘(2017年韓国知識財産研究院のアンケート)

そのために海外出願の支援予算を、2018年の28億ウォンから2019年の62億ウォンに117.2%増額し、海外出願の支援件数も2,039件から2,626件に28.8%拡大した。今年は支援規模をさらに増やして117億ウォンを支援する予定である。

特許庁長は、「未来の技術覇権を確保するために世界各国の技術競争が激しくなる一方、速やかな海外知的財産権の確保は特許・産業戦争の勝敗を左右するものになる」とし、「これから韓国企業が積極的に海外市場に進出し、世界市場をリードできるよう、海外知的財産権の確保を最優先に支援していく」と述べた。

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