知的財産ニュース ETRI、国際標準特許871件確保、標準活動をリード
2020年3月11日
出所: 韓国電子通信研究院
2019年に国際標準特許43件確保、国際標準も39件制定
ETRI特許を反映した寄書21件、新規で国際議長団61席を確保
市場ニーズを反映し、オープンソース並行プロセスの強化を推進
韓国の研究グループが、第四次産業革命技術に関連する特許を多数開発し、国際標準化活動を広げてICT産業をリードするために努力している。
韓国電子通信研究院(以下、ETRI)は2019年の1年間、国際標準特許43件を確保することにより、累積の国際標準特許件数が871件に達したと発表した。その他、国際標準制定39件、ETRI国際標準特許を反映した寄書21件、国際議長団61席を新規確保し、韓国内の機関のなかで最高レベルの標準化実績を記録した。
R&D過程により特許を確保し、それを国際標準にする努力の重要性がますます高まっている。新しい標準と技術を一度使い始めると、他の技術に置き換えることが難しくなり、ロックイン効果(注1)が発生し、それによる波及効果が大きいからである。標準化活動が「銃声なき戦争」、国際標準特許が「金の卵を産むガチョウ」に例えられる理由である。
これまでETRIは、移動通信、放送通信、モノのインターネット(IoT)分野など、ICT融合技術分野において韓国内の市場のニーズに応えながら、国家レベルの標準化対応を着実に遂行してきた。特に研究院は、韓国企業および技術が新規市場に進出して競争力を備える基盤を設けるための標準化活動に集中している。
このように研究院が確保した国際標準特許には、5G移動通信分野が最も多く、例年に比べてビッグデータ、クラウド、人工知能分野でも増加傾向を見せた。さらに、人工知能、ブロックチェーン、クラウドコンピューティング、モノのインターネット、スマート製造、デジタルツイン、スマートシティなど、さまざまな応用、サービス分野の中核技術を国際標準化することに成功した。
ETRIは3GPP(移動通信標準化技術協力機構)、IEEE(米国電気電子技術者協会)、W3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)、OCF(オープン・コネクティビティ財団)などITU、ISOなどを含むさまざまな団体で活動したデファクトスタンダード(事実上の標準)化の実績も高めた。
デファクトスタンダード化の活動とは、実際に市場のニーズを満たす規格を作る活動であり、グローバルメーカーのようなプロバイダと通信事業者や一般ユーザーのような消費者の両方への影響力が非常に大きい。
これにより研究院は人工知能など、新たに浮上する技術分野で注目すべきデファクトスタンダード化の機構やフォーラムなどを発掘し、早期に参加することにより実質的な成果を収めようと努力している。
また、最近のデファクトスタンダード化の活動は、オープンソース並行で開発され、速やかな検証、普及による市場活用性を最大化する雰囲気である。それに加え、ETRIは標準統括組織である標準研究本部を中心にR&D-オープンソース-標準化の連携体系をより強固にし、標準の市場価値を最大化する「立体的標準化」を導き出すという戦略を立てている。
ETRIの標準研究本部長は、「当研究院は、2020年をデファクトスタンダード化の活動をイノベーション的に強化する元年とし、新たなICTの未来を準備して先手を取る前進基地の役割を果たす」と述べた。
今後の研究院は、連携機関と緊密に協力しながら、需要者と国民の便益のための標準化活動を強化し、韓国内の技術力と標準の価値を最大化するという計画を明らかにした。
[参考] ETRI3ヵ年の国際標準関連における実績現況]
1.国際標準特許 →国際特許のなかで特許権利が国際標準に反映され国際標準特許ではない通常の国際特許に比べて権利の行使が強力な特許実績確保の現況年度 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 計 |
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件数 | 81件 | 56件 | 43件 | 180件 |
年度 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 計 |
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件数 | 29件 | 33件 | 39件 | 101件 |
年度 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 計 |
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件数 | 50件 | 43件 | 21件 | 114件 |
年度 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 計 |
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座席数 | 91席 | 70席 | 61席 | 222席 |
注記
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Lock-in effect:特定製品やシステムがもたらす、関連製品および他のサービスの選択を制限する現象
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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