知的財産ニュース 特許庁、中小企業向けの「標準特許紛争対応ガイド」発刊

2020年2月19日
出所: 韓国特許庁

標準特許のライセンス交渉、こうしましょう!

特許庁は、最近さまざまな標準特許権者からロイヤリティの要求を受けている中小企業が、まともにライセンス交渉をするために参考になる「標準特許紛争対応ガイド」を発刊すると発表した。

標準特許とは、ITU、ISO、IEC (※)など、複数の標準化機構によって制定された標準規格を実現するために必ず実施しなければならない特許を意味する。

※ITU(国際電気通信連合)、ISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準会議)

第四次産業革命の時代を迎え、情報通信技術を中心に産業間の融合が加速化し、通信技術などICTに関する標準特許の影響力が全産業に拡大している。そのため、標準特許関連の紛争にさらされる企業も増えると予想される。

通常、標準化機構は技術の普及と活用という目標を阻害しないよう、標準特許権者に公正かつ合理的で、非差別的な条件(FRAND (※))による実施許諾を宣言するよう要求している。

※Fair、Reasonable And non-Discriminatory

このような宣言のため、標準特許権者は通常の特許紛争とは違い、侵害禁止訴訟を提起する前に実施者にライセンス交渉を要求しなければならないのが一般的である。

※標準特許権者が実施許諾を受ける意思がある潜在的な実施権者に対して侵害禁止請求をする行為は、正当な権利範囲を超えるものである(公正取引委員会の「知識財産権の不当な行使に関する審査指針」)

しかし、中小企業は標準特許権者に比べて専門人材や交渉に関する情報が足りないため、不合理な条件でライセンスを締結するリスクが高い。

実際に多数の韓国内の映像機器メーカーが標準特許プール(※)からロイヤリティを要求する警告状をもらったが、まともな交渉ができず特許プールの要求をそのまま受け入れているのが実情である。

※多数の特許権者から特定標準規格に関連した特許を収集し、一括で権利行使をする団体であり、MPEG-LA、VIA、SISVEL、HEVC Advanceなどがある

当ガイドは、標準特許権者が警告状などによりライセンスを要求された場合、進められる交渉段階と各段階別での実施者の対応要領を提示している。また、ロイヤリティ金額を算定する具体的な方法とロイヤリティが過剰に算定されないよう実施者が留意すべき事項が含まれている。

その他、主要標準特許プールの情報と主要標準化機構別のFRAND宣言特許の確認方法、海外標準特許関連の主要判例分析など、標準特許紛争に対応するために必要な有用な情報を載せている。

特許庁の産業財産保護政策課長は「標準特許紛争の際、ガイドを参考にして初期対応はするが、ロイヤリティ交渉は専門家の助力が必要である」と強調し、「特許庁の国際知財権紛争への対応戦略、共同対応支援などの保護支援事業を積極的に活用するのが望ましい」と述べた。

同ガイドは、知識財産の総合ポータル(IP-NAVI、www.ip-navi.or.kr)からダウンロードすることができる。

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