知的財産ニュース 新型コロナウイルスおよびインフルエンザ診断技術の特許出願現況

2020年2月13日
出所: 韓国特許庁

新型コロナウイルスもインフルエンザのように早く診断できないのか

2020年2月7日から新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症の診断に、新しい「リアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法」を適用し、従来24時間だった診断時間より短い6時間で新型コロナウイルスが診断できるようになった。この「リアルタイムPCR法」は、新型コロナウイルスで特異的に発現する遺伝子を検出し、感染有無を速やかに診断することができる。新型コロナウイルスは、風邪の主要病原体で頻繁に変異が発生し、重症急性呼吸症候群(SARS、サーズ)および中東呼吸器症候群(MERS、マーズ)などの疾患を引き起こす。

※出典:疾病管理本部のプレスリリース「2月4日配布、『新型コロナウイルス診断試薬の緊急使用承認』」

韓国特許庁によると、ここ20年間(2000〜2019年)にヒト感染の可能性がある新型コロナウイルスの診断技術は、計64件(内国人56件)が出願されたことが分かった。[添付1]

2002年に初めて報告されたサーズコロナウイルス(SARS-CoV)関連の診断技術は、計19件(内国人16件)が出願された。また、2012年の初報告の後、2015年に韓国に伝播されたマーズコロナウイルス(MERS-CoV)に関する診断技術の出願は計33件で、韓国でマーズが流行した以後、大幅に増加したおり、大半が韓国人の出願(30件)で、韓国で多数発症したことと関連性があると把握される。

現在、新型コロナウイルスの特異的診断に関する出願はないが、マーズが流行した時と同様に、今後の出願増加が予想できる。

新型コロナウイルスの診断技術は、抗原抗体反応を利用する診断技術(所要時間30分前後)とリアルタイムPCR法を利用する診断技術(所要時間6時間前後)に分類され、それぞれ32件(内国人25件)および33件(内国人31件)が出願されたことが分かった。[添付2]

サーズに対する抗原抗体反応による診断技術とPCR診断技術は、それぞれ7件(内国人5件)と12件(内国人11件)が出願され、マーズに対する抗原抗体反応による診断技術とPCR診断技術は、それぞれ23件(内国人20件)と10件(内国人)出願されたことが分かった。

一方、インフルエンザウイルス診断技術は、ここ20年間計200件(内国人38件)が出願されたことが分かった。[添付3]

インフルエンザウイルスの抗原抗体反応による診断技術とPCR診断技術は、それぞれ132件(内国人76件)と88件(内国人76件)が出願され、より迅速な診断が可能な抗原抗体反応による診断技術分野の出願が優勢であると判断できる。 インフルエンザは、タミフルなどの治療薬が開発されており、抗原抗体反応を利用した迅速な診断と治療がほぼ同時に行われることができるという点と関連していると思われる。

特許庁のバイオ・ヘルスケア審査課長は、「新型コロナウイルス感染症もインフルエンザと同様に抗原 抗体反応を利用した迅速な診断技術とともに、多種のウイルスを同時に診断するマルチプレックス(multiplex)PCR法を利用した診断技術についても研究開発および出願が活発になると予想される」とし、「これから人に致命的なウイルスの変種による感染症が多くなると予想しているため、それに備えて積極的な研究開発と投資を行われなければならない」と強調した。

[添付1]

最近20年間のコロナウイルス診断関連の全体出願 SARS&MERS診断関連出願

[添付2]

コロナウイルス全体の診断関連出願 SARS&MERS診断関連出願

[添付3]

新型インフルエンザ韓国発生 インフルエンザウイルス関連出願

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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