知的財産ニュース 著作権侵害を捜査する「デジタルフォレンジックセンター」、韓国で初めて開所
2020年2月12日
出所: 電子新聞
著作権保護院、巧妙化する犯罪に対応 不正コピーなどの侵害の証拠を見つける ワークステーションなどの最新設備の拡充 オブザーバールームを設置し、運営の透明性向上
デジタルコンテンツの著作権侵害を捜査するための「デジタルフォレンジックセンター」が韓国で初めて開所した。巧妙化する著作権侵害に効果的に対応し、韓国国内の著作権産業のレベルを一段階引き上げられると期待している。
韓国著作権保護院は2月12日、ソウル上岩洞にある本院9階で、デジタルフォレンジックセンター(以下、センター)の開所式を開催し、運営を開始した。効率的な著作権捜査に向けたセンターの構築方策研究(2018年)を皮切りに、約2年間の努力が実を結んだのである。
デジタルフォレンジックは、PCや携帯電話などの各種記憶媒体、インターネット上のデジタル情報を分析し、犯罪の手がかりを見つける捜査手法である。著作権分野では、不正コピーなどにより著作権者の権利を侵害したかについて証拠を採証する過程を意味する。
韓国著作権保護院は、既存のデジタルフォレンジックチームが運営していた証拠分析室をセンターに拡大改編し、デジタルフォレンジック能力を一段階向上させた。
センターは、効果的にオンライン上の不正コピーとウェブに対応するため、ワークステーション、モバイルフォレンジックツールなど、最新設備と分析ソフトウェアを拡充した。オンラインサイトだけでなく、押収した多量のハードディスク、携帯電話などを同時に分析できるようになった。
設備だけではない。センターは業務手続き、分析方法などに対する公信力を確保するため、それに関する国際規格である「ISO / IEC17025」認証の獲得を推進する。センターの運営レベルを国際的なレベルに高度化させるという方針である。
オブザーバーが、デジタルフォレンジックの全過程を参観することができる、オブザーバールームを設置し、手続きの透明性と信頼性を高めたことも変わった点である。
2019年基準で韓国内のコンテンツの不正コピー利用率は22.2%である。デジタルコンテンツが増加し、技術が発達すればするほど、著作権侵害も巧妙化・大規模化していく。海外流通コンテンツの不正コピーの現況は規模の把握すら難しい。
韓国の文化体育観光部は、2月上旬に発表した「著作権ビジョン2030」で、2030年までのコンテンツの不正コピーの利用率を12%に下げると発表した。センターは文化体育観光部の特別司法警察官(特司警)との緊密な協力を通じて、目標達成に協力する予定である。
韓国著作権保護院長は「著作権デジタルフォレンジックセンターの構築により、保護院の犯罪情報収集と分析能力を向上させることができるようになった」とし、「著作権侵害犯罪への捜査対応を強化し、大規模の著作権侵害を根絶することを希望している」と述べた。
開所式には、韓国著作権保護院長をはじめとする、文化体育観光部の著作権保護課長、大検察庁のデジタル捜査課長、警察庁のデジタルフォレンジックセンター長、特許庁の産業財産調査課長、高麗大学の情報保護大学院長などの関係機関の関係者が参加した。
- 本記事は、電子新聞インターネット社からの許諾を得て翻訳・掲載しています。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195