知的財産ニュース 特許庁、「知財権紛争における共同対応支援事業」の効果高く

2020年1月2日
出所: 韓国特許庁

商標ブローカーが先取りしたK-ブランドの商標53件…中国で無効に

中国に進出する予定だった、食品フランチャイズのA社は、現地の商標ブローカーが自社商標を登録していることに気付いた。しかし、中国国内での認知度が低く使用した証拠資料が無い上に、先取りした商標の漢字表記も相違するため、個別対応では勝訴が難しいと判断した。しかし、特許庁における被害企業の共同対応により、商標ブローカーが他人の商標を大量で複製・盗作した事実を明らかにすることで故意性を明確に立証でき、勝訴することができた。

韓国特許庁は、海外商標ブローカーによる被害企業を支援するために2018年に推進した「知財権紛争における共同対応支援事業」の結果、共同対応に向けて構成された53の企業が無効審判などで勝訴したと12月29日に発表した。

この53の企業は中国の主要商標ブローカー(5名)から被害を受けたフランチャイズ・人形・衣類・化粧品など、4業種の韓国中小企業であり、中国の商標ブローカーが多量に先取りしている商標を深層調査・分析した後に共同嘆願書を提出、併合審理などの実施によりブローカーの悪意性の立証に注力した。

その結果、2019年9月から勝訴しはじめ、これまで計53件の商標権紛争が全部勝訴する結果となった。

これまで韓国企業の中国における認知度は、相対的に低くブローカーが先取りしている商標を無効にすることが困難であったが、中国商標当局における商標ブローカー根絶に向けた政策をうまく活用することにより、今回の勝訴を得たと分析している。

特に同じブローカーから被害を被った企業が協議体を構成して共同対応する方式は、商標ブローカーの悪意性をより容易に立証し、共通資料も活用できるためコスト削減の効果もあり、企業間のノウハウを共有することで、知財権紛争対応への能力を高めたと把握している。

今回の商標ブローカーへの共同対応は、同業種で実際に先取りした商標を付して商品販売をした商標ブローカーに対しても勝訴した。

商標ブローカーがオンラインショッピングモールなどで商標を使用している場合には、中国商標法および商標審査基準で規定している「商標ブローカー」に該当するのかが不明確であった。

しかし、商標ブローカーが先取りした商標を使用したとしても、これは単純な外形上の使用にすぎず、他人の商標を大量で無断先取りしていること自体が、商標公正使用の秩序を乱す信義誠実の原則を違反する不公正使用であると証明し、全部勝訴という結果となった。

一方特許庁は、中国語の発音や意味と企業のイメージがマッチしているかどうかや、登録可能性などを検討し、ブランド名の中国語ネーミングを支援するとともに、被害企業を対象にした海外出願費用の支援事業などを通じて、韓国企業とK-ブランド商標の出願を推奨している。

特許庁の産業財産保護協力局長は「依然として海外の商標ブローカーが本来の権利者である韓国企業に警告状を送付したり、高い和解金や使用料を要求するなど、持続的に金銭的被害を起こしている」とし、「商標ブローカーの活動を根絶するための長短期的な対応策を設け、紛争被害の長期化に備えられるよう、より支援を拡大していく予定である」と明らかにした。

「知財権紛争における共同対応支援事業」に関する詳細な内容は、特許庁の産業財産保護支援課(+82-42-481-5214)または、韓国知識財産保護院(www.koipa.re.kr、+82-2-2183-5898)に問い合わせれば良い。

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