知的財産ニュース 特許平均寿命11.1年、ここ10年間で1.4年増加

2019年4月24日
出所: 韓国特許庁

ここ10年間で特許権の保有期間が堅調に伸びる
知識基盤社会において知的財産権の価値が高くなっている証

特許庁は、2018年に消滅した計35,261件の特許権を分析した結果、出願から消滅までの保有期間は平均11.1年であると発表した。

これは、特許権保有期間の算定以来最大値であり、ここ10年間で1.4年が増加(2009年比14.4%増加)した数値である。

年度別特許権保有期間推移(消滅特許権対象)(単位:年)

出願から消滅までの保有期間は平均11.1年

2018年に消滅した特許権のうち、保有期間が15年を超える長期保有特許権が19.8%を占め、11年~15年保有は27.4%、6年~10年保有は34.7%、5年以下保有は18.1%を占めた。

10年前と比較すると、10年以下の特許権短期保有の割合は、64.2%から52.8%に減少した一方、15年を超過する特許権長期保有の割合は、8.5%から19.8%と、2倍以上増加した。

区間別の特許権保有期間変化(2009年~2018年)

保有期間15年超過の長期保有特許権が19.8%、5年以下保有18.1%

2018年に消滅した件のうち、最長期特許権は、日本の「SDS Biotech社」の「農薬製造」関連特許で、24.6年間(※)維持された。一方、特許多出願企業のサムスン電子とLG電子は、それぞれ平均13.7年間、12.9年間保有したことが判明した。

※特許権存続期間の延長登録出願制度(医薬品、農薬などは5年範囲内で特許権延長可能)

権利者類型別の保有期間をみると、外国企業の特許権保有期間が12.9年と最も長く、大企業12.8年、中小企業9.0年、個人は8.2年であった。

10年前と比較すると、外国企業、中小企業、個人の特許権保有期間が軒並み1年以上増加し、大企業は3年以上大きく増加した。

権利者類型別特許権保有期間の変化(2009年~2018年)(△はマイナス)
権利者類型 特許権平均保有期間 増減期間 増減率
2009年 2018年
外国企業 11.5年 12.9年 Δ1.4年 Δ12.2%
国内 大企業 9.5年 12.8年 Δ3.3年 Δ34.7%
中小企業 8.0年 9.0年 Δ1.0年 Δ12.5%
個人 6.9年 8.2年 Δ1.3年 Δ18.8%

個人・中小企業の場合、特許、商標などの知的財産を活用した競争力確保の重要性が認識されるとともに、年次登録料減免などのこれまでの知的財産権取得に向けた企業支援施策の影響で特許権保有期間が増加したとみられる。

個人・中小企業の特許権保有期間推移(2009年~2018年)

各年次別の減免率を表記

大企業の場合、2013年以降、特許出願は持続的に減少傾向にあるが、特許権の保有期間は堅調に伸びている。これは、大企業が量的成長中心の特許戦略から、優秀な特許権を長期保有する質的成長中心の特許戦略にパラダイムシフトしていることと解釈される。

大企業の特許出願および特許権保有期間推移(2009年~2018年)

2013年以降、大企業の特許出願は持続的に減少傾向にある

一方、技術別には、2018年に消滅した特許権のうち、光学(13.9年)、高分子化学(13.4年)、基本通信(12.8年)など、基礎科学技術分野に対する特許権の保有期間は長くなっている一方、電子商取引(8.6年)、マイクロ・ナノ(8.4年)、ゲーム(8.2年)など、トレンドに敏感な新技術分野に対する特許権の保有期間は相対的に短くなっていることが分かった。

特許権の長・短期保有期間上位5位技術(2018年)

光学(13.9年)、高分子化学(13.4年)、基本通信(12.8年)、電子商取引(8.6年)、マイクロ・ナノ(8.4年)、ゲーム(8.2年)

特許庁情報顧客政策課長は、「特許権の保有期間増加は、特許保有を通じた企業の技術競争力確保戦略による結果とみられる」とし、「中小・ベンチャー企業などを対象に、手数料減免、公益弁理士相談サービスといった多様な支援施策を通じて良質な特許が長く維持できる好循環エコシステムを造成していく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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