知的財産ニュース LG電子の特許で、GEがアイスディスペンサー付浄水器冷蔵庫を製造…国内家電がロイヤルティー受け取る時代に

2019年6月27日
出所: 電子新聞

LG電子が、自社のアイスディスペンサー付浄水器冷蔵庫の特許使用を許可するライセンシング契約をGEアプライアンスと締結したと6月27日、明らかにした。

これにより、GEアプライアンスは、LG電子の中核特許を使用したアイスディスペンサー付浄水器冷蔵庫の生産、販売が可能になる。GEアプライアンスは、中国のハイアールが米国のゼネラル・エレクトリック(GE)の家電部門を買収して米国に設立した法人である。

LG電子とGEアプライアンスは、特許利用契約に向けて長年交渉を続けてきており、LG電子がGEアプライアンスを相手取って特許侵害禁止訴訟を提起する直前に妥結に至った。

ライセンシング契約は、LG電子がアイスディスペンサー付浄水器冷蔵庫に採択した独自の「ドア製氷」技術の特許に関する契約であり、LG電子は、約400件のドア製氷技術の特許を保有している。

ドア製氷技術とは、冷凍室の冷気を引き込んで、冷蔵庫のドアの内側にて製氷するLG電子の独自の技術である。既存の他のアイスディスペンサー付浄水器冷蔵庫では、冷蔵庫内部のスペースを相当占める製氷装置を別途搭載する必要があり、内部のスペースを効率的に活用することが難しい。

内部のスペースの活用度を高めるドア製氷技術は、LG電子のアイスディスペンサー付浄水器冷蔵庫が、米国市場でプレミアム製品として認められる上で大いに貢献した技術である。この製品は、米国で権威のある消費者雑誌が行った製品評価で、プレミアム製品群のフレンチドア冷蔵庫部門1位に輝いた。

LG電子が家電分野の特許権の契約を公開したのは異例といえる。

今回の措置は、家電の生産と販売だけでなく、LG電子が技術基盤の特許侵害防止と活用に、積極的に対処したという点で意味があり、ある意味で特許経営のスタートともとれる。

LG電子は、GEアプライアンスに、特許使用を許可してその対価を受け取る。これにより、LG電子は、世界トップレベルの家電産業の競争力を基盤に家電の販売だけでなく、無形特許からでも新たな売上源を確保するようになった。特許ロイヤルティーを、新しい企業とで企業間取引(B2B)ビジネスとして成長させる可能性もある。家電はもちろんモーターなど、部品分野で先導するLG電子が特許権と技術販売の拡大に乗り出すか注目される。

LG電子は、家電分野で差別化した独自の技術と製品を多数保有している。世界知的所有権機関(WIPO)によると、LG電子は2018年に、特許1,697件を出願しており、グローバル企業の特許順位で8位である。このうち、3分の1が家電分野の特許である。

また、米国市場で家電分野の知的財産(IP)を認められたという点でも意味がある。中国のメーカーを中心に家電分野の特許侵害事例が増えている。特許使用の許可を公表することで、間接的に自社のIP保護にでるという厳正な対処ともとれる。

LG電子の特許センター長副社長は、「グローバルプレミアム家電市場を先導するLG電子のIPを積極的に保護するとともに、不当な侵害や無断使用の場合には、厳正に対処する」と強調した。

韓国の主要企業が、過去にドイツや日本の技術を受容する立場から、韓国の技術でロイヤルティーを受け取る立場へと、競争力を高めたという点で意味が大きい。

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