知的財産ニュース IP価値評価士の新設、特許庁が「鑑定」業務と重なるという理由で「不可」と判定

2019年11月11日
出所: 電子新聞

特許庁が、知的財産(IP)価値評価専門家の資格新設の要請に「不可」と判定した。既存専門職の「鑑定」業務と重なる可能性があると解釈したのである。IP業界では同じ業務ではなく、資格の新設が急務であると主張した。

11月11日、関連業界によると、特許庁は最近、韓国知識財産サービス協会の「IP価値評価士」の民間資格の新設要求に登録不可と決定した。

IP価値評価士は、特許、実用新案など知的財産権を含む技術の権利性、技術性、市場性、事業性を分析する専門家である。

技術の使用・担保の価値を価額として評価し、報告書を作成する業務を遂行している。

協会はIP金融、IP移転・取引・事業化などを体系的に支援するためには、IP価値を算定する専門家が必要だと判断し、特許庁に資格の新設を要請していた。

特許庁は、専門職の新設が弁理士法に反する可能性があると結論を下した。弁理士法では、産業財産権に関する「鑑定」を弁理士の固有業務として明示している。特許庁は、IP価値評価士の重要業務であるIP価値評価、評価報告書の作成が弁理士の鑑定業務と重複しているため、民間資格の新設禁止分野に該当すると判断した。

協会は、鑑定と価値評価を同じ業務と見なしたことについて問題を提起した。鑑定は、知的財産権の侵害可否、技術的権利範囲および有効無効を判断する業務である一方、価値評価は、事業化により発生する可能性のある技術の経済的価値を価額、等級または点数などで表現する業務であり、はっきり区分されていると主張した。

特許庁の決定がIP価値評価の根拠となる法律とも相反する可能性があると懸念されている。一部の市中銀行、発明評価機関などは、知的財産基本法、発明振興法、技術移転及び事業化の促進に関する法律、知的財産サービス業の特殊分類などに応じて、IP価値評価業務を遂行している。技術保証基金の「技術信用評価士」、韓国企業技術価値評価協会の「企業・技術価値評価士」、韓国技術取引士会の「技術事業価値評価士」などである。協会は、特許庁の判断によると、この業務も争いの余地が発生する可能性があると述べた。

IP業界は、技術取引、創業などの前にIP価値評価が必要で、専門性の確保が重要な状況であり、残念であると反応した。

IP業界の関係者は、「弁理士の業務領域を保護し、権利を認めなければならないのは当然であるものの、現在も既に他の領域で行われる業務を弁理士の固有業務と判断したのは理解できない」としつつ、「最近のIP関連紛争や取引が活発な状況の中で、IP価値の算定業務はより厳しくなっており、専門性を要しているため、専門家を育成し対応しなければならない」と強調した。

また、他の業界の関係者は、「弁理士の固有業務を侵害することでも、業務領域の争いをしようということでもない」とし、「根拠となる法令を合理的かつ明確に解釈することで、専門性を確立し、混乱を解消するためである」と述べた。

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