知的財産ニュース 米国進出の韓国企業の知的財産権利の行使が本格化!

2019年4月3日
出所: 韓国特許庁

特許庁、「2018年IP TREND 年次報告書」発刊

特許庁と韓国知識財産保護院は、「2018年IP TREND 年次報告書」を発刊し、韓国企業が米国で知的財産の権利行使に本格的に乗り出していると明かした。

2018年の米国内での韓国企業と外国企業間の特許訴訟は、計284件(※)(提訴104件、被訴訟180件)で、前年(182件)比約56%増加した。
※事件当たり被告数基準(韓国企業が原告の場合は外国被告数、韓国企業が被告の場合は韓国企業数)であり、事件数の基準では131件(前年比32%増)

米国内全体の特許訴訟は、2015年以降減少しているが、韓国企業関連の特許訴訟は2016年以降増加していることが判明した。
※米国全体の特許訴訟(事件数基準):(2014)5,099 →(2015)5,831 →(2016)4,537→(2017)4,037→(2018)3,657(Patent Litigation Report 2019, Lex Machina

韓国企業の特許訴訟は2016年以降、提訴と被訴訟両方とも増加しているが、特に中堅・中小企業は、提訴件数が2016年の6件から2018年は92件と大幅増加し、2018年に初めて被訴訟の件数を追い越した。

2018年は、中堅・中小企業の場合、計10社が訴訟を提起し、そのうちの2社が70件の訴訟を提起し、提訴増加を主導した。

韓国企業の被訴訟の増加は、NPE(※)によるもので、特にUniloc(※※)が2016年以降、韓国の大企業を対象に多数の訴訟を提起したことが主な原因とされる。

※ Non Practicing Entity:製品生産はなく、主に訴訟およびライセンス活動をする企業
※※ Uniloc Corporation(豪州のセキュリテイ技術ソリューション企業)の子会社であり、コンピュータ・移動通信・医療などの分野での訴訟のうち、韓国企業を対象に2017年は26件、2018年は54件を提起

技術分野別ではここ5年間、電気電子・情報通信分野に韓国企業の訴訟の74%が集中している。ただし、毎年2件程度だった化学・バイオ分野は、2018年は14件に増加し、これはバイオシミラー製品関連の訴訟だった。

特許庁産業財産保護協力局の局長は、「韓国企業が米国で特許紛争の攻勢に出るということは、韓国企業の知財権の力量が向上したため」とし、「特許庁は特許共済、知的財産基盤の金融支援制度などを通じた効果的な資金支援により中小企業が海外特許を確保し、知財権の力量をさらに強化できるよう支援していく」と述べた。

「IP TREND 年次報告書」は、米国内の韓国企業の特許訴訟動向、知的財産関連の主要イシュー、専門家コラムなどを盛り込んで毎年発刊する。

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2019年は、韓国で7月から施行される特許侵害に対する懲罰的損害賠償の導入に伴い、米国関連の判例分析と韓国企業の知財権の対応戦略に関する専門家コラムを収録した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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