知的財産ニュース デジタル性犯罪や技術流出などによる犯罪収益を徹底没収

2019年4月5日

「犯罪収益隠匿の規制及び処罰等に関する法律」改正案、国会で可決

デジタル性犯罪、技術の海外流出犯罪など重大犯罪による犯罪収益を効率的に還収できるようにする「犯罪収益隠匿の規制及び処罰等に関する法律」(以下、「犯罪収益隠匿規制法」)一部改正法律案が2019年4月5日(金曜)国会の本会議で可決された。

今回の改正により、新たに犯罪収益隠匿規制法上の重大犯罪に追加された犯罪などに対しこれからは、

  1. 犯人が犯罪収益を移転する前に、捜査中の没収・追徴補てん命令により迅速に凍結することができる。
  2. 犯人が犯罪収益を隠匿または適法な収益として仮装した場合に、これをマネー・ロンダリングとみなし処罰することができる。
  3. 犯罪収益を処分したとしても、その代価で得た財産まで没収・追徴できるようになり、犯罪収益を徹底的に還収できるようになる。

今回の改正で追加された主な重大犯罪

1.デジタル性犯罪および技術の海外流出

違法に撮影したわいせつ物で経済的利益を得るファイル共有サービスなどのデジタル性犯罪を抜本的に抑止するために、児童・青少年を利用したわいせつ物の制作・配布行為およびカメラを利用した撮影および配布行為を重大犯罪に追加

主要輸出産業である半導体・LEDなど中核技術の流出により国家競争力に甚大な打撃を被らせる技術の海外流出行為を重大犯罪に追加

2.有害化学物質の製造販売および個人情報の不正取得

加湿器殺菌剤の被害事故など、有害化学物質の製造による被害を防止するために有害化学物質製造販売行為を重大犯罪に追加

景品イベントに仮装させ取得した個人情報の販売による利得などを還収するために、不正に個人情報を取得する行為も重大犯罪に指定

3.違法なスポーツ賭博および環境・テロ犯罪

犯罪収益の規模が莫大な違法スポーツ賭博も重大犯罪に指定し、サイト運営者、賭博行為者、八百長(なれあいの勝負)加担のスポーツ選手などの犯罪収益のはく奪

2020年2月に実施される、韓国に対する国際マネー・ロンダリング防止機構(FATF)の履行評価に備えてFATFの勧告事項である環境犯罪、テロ犯罪なども追加

今回の改正の意義

今回の改正で新たに追加された重大犯罪に対して徹底した犯罪収益の没収およびマネー・ロンダリング捜査が可能になり、犯罪における経済的要因を抜本的にはく奪することで、犯罪を効率的に抑止することができる。

また、今回の犯罪収益隠匿規制法の改正は、国際社会で韓国政府のマネー・ロンダリング防止に向けた取り組みの肯定的要素として評価され、国家信用度の向上に貢献すると期待される。

法務部は、いかなる犯罪からでも経済的利益を得られないように、犯罪収益の追跡・はく奪の徹底に最善を尽くす。

※今後、国務会議を経て公布されれば、2019年4月中に施行予定

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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