知的財産ニュース コーヒー一杯で味わう「美味しい特許技術」

2019年5月13日
出所: 韓国特許庁

コーヒー飲料における、官能性と機能性を強化した特許出願がブーム

暖かい春の陽光のそそぐお昼の時間、美味しいコーヒーの香ばしい香りを楽しむ光景は、日常となっており、もはやコーヒーは、「嗜好食品」を超え、私たちの生活の中に「コーヒー文化」として定着している。

2018年のコーヒー豆の国内輸入量は、13.3千トン(190百万ドル)規模であり、2014年の7千トン(98百万ドル)に比べて94%増加となっており、これは、2009年の3.5千トン(42百万ドル)と比較すると、280%増加したものである。

※品目分類(HS)コード090121(コーヒー(焙煎しており、カフェインを除去していないもの)と、品目分類(HS)090122(焙煎しており、カフェインを除去したもの)の合計値である(出処:韓国貿易協会、国内輸入・輸出統計資料)

瓶や缶、コップなどに入った「液状コーヒー」、韓国で発明した「ミックスコーヒー」(調剤コーヒー)だけでなく、コーヒーの風味を楽しめるように、焙煎したコーヒー豆を挽いて入れた「インスタントコーヒー」など、コーヒー飲料の形態も多様化した。

(ミックスコーヒー)コーヒー(粉)、粉末クリーム、砂糖が混合した形態であり、1976年に韓国の東西食品が最初に開発し、特許庁のフェイスブック友達が選定した「韓国の有名発明品10選」で5位にランクされた(2017.5.18)

(インスタントコーヒー)食品公典によると、「焙煎コーヒーの可溶性抽出液を乾燥させたもの」を意味する

特許庁によると、直近5年間(2014年~2018年)のコーヒーに関する特許出願は543件であり、以前の5年間(2009年~2013年)の321件に比べて69%増加しており、味と香りだけでなく、カフェインの副作用と健康志向の消費者の嗜好に合わせて「機能性」を強化したコーヒーの特許出願が活発に行われていることが判明した。

細部技術分野別にみると、コーヒーの顆粒化のような「剤形」(14.9%)、「焙煎」(10.0%)および「抽出」(7.8%)方法、単純な「風味強化」(8.5%)関連の特許出願の割合は、直近5年間(2014年~2018年)で減少傾向となっている。

(特許出願例示)多様なコーヒー生豆の特性に合わせて、焙煎および抽出の温度・時間・圧力条件を設定、コーヒーの風味をよくするために、コーヒーの揮発性香り成分を捕集して追加、または別途の香味成分を追加、コーヒー材料にガスを注入・加工して、コーヒーの粒子が水に溶ける際に、豊富な泡を形成し、柔らかい味を附加

一方、「機能性」強化分野の出願の割合は、同じ期間(2014年~2018年)では、増加傾向をみせている。実際、2009年の19.6%から2018年の59.8%に、3倍増加した。

機能性強化技術には、「健康機能性成分を添加」する、またはコーヒー生豆またはコーヒー抽出物を「発酵」させることで、カフェイン含量は下げて、抗酸化効果で知られるポリフェノール成分(クロロゲン酸など)といった有用成分の含量は高く維持する技術に分けられる。

(機能性成分添加例示)疲労回復に効果のある紅参添加、双和茶材料のケンポナシ、トウキ、アカヤジオウなど、生薬材料を添加、カフェインの副作用の減少のためにカテキンが豊富な緑茶添加、デトックスおよびダイエットに効果のあるビタミンツリーの葉およびカラマンシー抽出液添加、女性の更年期改善に効果のあるザクロ抽出物添加

出願人別では(2009年~2018年)、個人46.3%(404件)、企業42.2%(368件)、大学5.0%(44件)、研究機関1.6%(14件)、共同出願4.9%(43件)となっており、個人および企業の出願が88.5%と大半を占めている。

特許庁農林水産食品審査課長は、「競争の熾烈なコーヒー市場で、消費者の多様なニーズを満足させる差別化された販売戦略を模索するために、健康機能性を強化したコーヒーの特許出願の割合が、持続的に増加しているものとみられる」とし、「これからは、味や香りはもちろん、消費者の健康志向にも応えるコーヒー製品の販売が増えるものと期待される」と述べた。

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