知的財産ニュース 技術奪取により登録された特許、無効審判を請求してください!

2019年10月21日
出所: 韓国特許庁

特許審判院、真正な権利者保護に乗り出す

他人が発明した技術を奪取して自分の名前で出願・登録された特許に対し、特許法第33条第1項本文(※)に基づき、無権利者の特許出願である理由で無効審判を通じて救済を受けることができる。

※特許法第33条第1項本文は、発明をした者またはその承継人は、特許を受けられる権利を持つと規定し、第133条第1項第2号は、第33条第1項本文の規定に基づく特許を受けられる権利を持たない者が出願し、特許を受けた場合を特許の無効事由の一つとして規定している。

特許審判院は、2010年以降、無権利者の特許出願である理由で請求された無効審判96件(※)の分析・結果を発表した。

※審判が終了した事件に限定し、進行中もしくは審決却下・取下など、本案判断が無い事件は除外。

請求人は、中小企業(52件)、個人(32件)、外国法人(3件)、大企業(2件)順であり、被請求人(特許権者)は、中小企業(60件)、個人(28件)、大企業(3件)順であり、当事者が個人または中小企業である事件が大半であった。

紛争別にみると、個人または中小企業間の紛争が大半であり、技術分野は、電気電子(29件)、機械(27件)、共通複合(22件)、化学(18件)順で紛争が多く発生していると調査された。

主な争点は、無権利者が真正な権利者の発明(以下、「冒認対象発明」とする)を完全に同一に出願せず、ある程度、改良また変形して特許を受けた時の冒認対象発明と特許発明の同一性の可否(※)である

※冒認対象発明と特許発明が同一でなければ無効にならない。

従来には同一性の判断基準を厳しく適用したものの、最近には無権利者が冒認対象発明の構成を一部変更して相違するようになったとしても、その変更が通常の技術者が普通に採用する程度に過ぎないとすれば、その特許発明は無効であるとの判断基準(2009フ2463判決、2011年宣告)を適用している。

特許審判院は、上の判断基準を積極的に活用し、技術奪取事件における真正な権利者を保護するために乗り出している。 無権利者の特許出願関連無効審判96件の結果をみると、66件(69%)が棄却され、30件(31%)が引用され、無効と判断された。

このうち、特許審判院の審決に不服して特許法院に訴が提起された事件は22件(23%)であり、このうち、3件(14%)だけが特許法院で審決取消(※)されたと調査された。これは、特許無効審判全体の審決取消率である27%(2014~2018年5年平均)に比べ、半分水準であり、特許審判院の判断が、法院で高い割合で支持されていることと解析できる。

※特許審判院で棄却したものの、特許法院で審決取消(無効)

特許審判院長は、「技術奪取により登録された特許から、正当な権利者を救済するためには、関連無効審判の正確な判断が重要であるため、審判便覧に最近の判断基準を追加するなど、正当な権利者保護に乗り出す」と明らかにした。

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