知的財産ニュース 消費者の嗜好に合わせて進化するカプセルコーヒー

2019年8月1日
出所: 韓国特許庁

源泉特許満了後、関連技術の開発が活発

2012年のスイスのN社のカプセルコーヒーの源泉特許の満了に伴い、国内で関連技術の開発が活発になっており、最近は消費者の多様なニーズに応えるために、コーヒーのブランディングの割合を調節できる技術など、多様な技術が開発されていることが分かった。

特許庁によると、カプセルコーヒーの容器は、1992年に最初の源泉特許(注1)が出願されて特許登録された後、2018年まで337件が出願されており、このうち111件が特許登録された。

特に、N社の源泉特許満了が予想された2011年から出願が急増し始めており、2010年まで89件だった出願が2011年以降、248件に増加した。

この分野の特許出願は、外国人の割合が78%(262件/337件)と高いが、内国人の出願も2010年まで12件から2011年以降63件に増えており、国内企業の市場進出の努力が反映されたためとみられる。

主な外国の出願企業は、スイスのネスレ(81件)、ドイツのカフェシステム(35件)、米国のクラフトフーズ(26件)、オランダのコーニンクレッカ(21件)などがあり、国内企業は、(株)ダイン、(株)CONVEXKOREA、(株)GGM、(株)テファデジタル、(株)JARO、(株)CNNコーヒーコリアなど、中小ベンチャー企業が多数を占めている。

カプセルコーヒーの技術分野別の出願の現状をみると、カプセルコーヒーの開発初期である2000年代の半ばまでは、カプセルの構造および材料、内部のコーヒー抽出水の流動方法、カプセルの密封技術などが主に出願された。

しかし、カプセルコーヒー市場の急成長に伴い、消費者のニーズが多様化した2000年代の半ば以降からは、二つ以上のコーヒー豆を好みに合わせてブランディングする、抽出条件の制御技術や伝統茶の抽出技術、カプセルの偽造・変造防止技術などが出願されている。

カプセルコーヒー細部技術分野別特許出願現状(1992年~2018年)
細部技術分野 件数 割合
カプセル容器の構造および材料技術 96件 28%
カプセル内部のコーヒー抽出水の流動 81件 24%
カプセルの密封技術 49件 15%
カプセルの識別および偽造防止技術 36件 11%
内容物別の抽出条件の制御 32件 9%
その他(ポッド、ドリップコーヒーなど) 43件 13%
337件 100%

特許庁精密部品審査課長は、「コーヒー市場の成長と高級製品を好む傾向に合わせて、カプセルコーヒーに関する特許出願が順調に行われるだろう。これからも市場シェアを拡大するために、カプセルコーヒーに先端科学技術を適用する関連企業の努力は続くだろう」と述べた。

(注1)1992年に出願されたカプセルコーヒーの源泉特許(「ネスプレッソ」のブランドで知られる(株)ネスレが所有する)は、2012年5月に、特許保護期間の20年が経過して消滅した。

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