知的財産ニュース 破産企業の優秀な知的財産、活用の場設けられる

2019年6月5日
出所: 韓国特許庁

特許庁・ソウル回生法院、破産企業のIPの取引促進に向けた業務協約締結

事例1. 2018年に破産した医療機器製造会社のA社は、残りの財産を処分する破産の手続に入った。法院が選任した破産管財人は、この会社が保有する8件の特許権の買取人を探したが、特許取引に対する専門性が不足する弁護士には容易ではなかった。続く公売の手続においても買い取りの希望者が現れず、A社の特許は、結局消滅してしまった。

事例2. 無線通信機を製造するB社は2017年に破産した。優秀な特許が死蔵されることを惜しんだ特許庁の特許取引専門官は、同種業界の企業のうち、B社の特許を必要とする企業を探した。その結果、2年間で18件の特許が新しい会社の下に移転され、特許の移転を受けた6社もまた、B社の特許を合理的な価格で買い取り、新たな事業の発掘が可能になった。

このように、企業が破産しても特許は死蔵されずに、他の企業に移転されて活用することができる。

特許庁とソウル回生法院は、6月5日(水曜、午前10時30分)、ソウル回生法院で業務協約を締結し、破産企業の知的財産(Intellectual Property、以下「IP」)の活用の拡大に向けて協力することで合意した。

最近、国内外における景気鈍化により破産する企業が増加(※)する中で、破産企業が保有する特許、商標、デザインなど、IPは、ほとんど安く売却または死蔵されるのが実情である。

※破産申請企業:(2017年)699社、(2018年)807社、(2019年4月)307社

IPは、不動産のような有形資産に比べて価値に対する正確な評価が容易ではなく、需要企業を探すことも難しいため、これまでは特許を必要とする企業に適正な価格で移転されなかったため、債権者において適切な返済手段にならなかった。

特許庁は、2017年から破産企業が保有するIPを取引するモデル事業を推進してきており、特許庁の知的財産専門人材(特許取引専門官)を通じて42件のIPを、計約2億4千万ウォンに売却する成果を挙げた。

特許庁とソウル回生法院は、このようなモデル事業の成果を基盤に、知的財産専門人材による破産企業のIPの取引および活用の必要性に認識を共にしており、今回の業務協約の締結に至った。

今回の協約により、ソウル回生法院が破産企業のIPの現状など、取引に必要な情報を特許庁に提供すれば、特許庁は専門人材を活用して破産企業のIPに対する需要企業の発掘および価値評価を行うことで、IPが効率的に取引できるように支援することになる。

さらに、破産企業が保有するIPの取引を促進するための方策を策定するとともに、破産企業が保有するIPの活用に向けて制度および認識の改善などで、協力を拡大していく予定である。

特許庁長は、「今回の業務協約を機に、破産企業の知的財産が適材適所に活用され、経済的付加価値を創出することを期待する」とし、「特許庁は、破産企業の優秀な知的財産が新しい企業に出会い、さらなるイノベーションと雇用創出を遂げるよう、積極的に協力していく」と述べた。

ソウル回生法院長は、「今回の業務協約を通じて破産企業のIPが正当な価格で売却され、破産手続が円滑に行われると期待される」とし、「今後、特許庁と協議を通じて適正なIPの評価方法、売却手続における公正な進行方法などに関して詳細内容を議論する予定である」と明らかにした。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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