知的財産ニュース 中国商標権紛争、商標ブローカーの弱点を突き止めば勝つ

2019年7月11日
出所: 韓国特許庁

特許庁は、海外知財権紛争への支援により、韓国企業が中国の商標権紛争で勝訴する成果を上げていると明らかにした。

韓国企業が多く進出している化粧品、飲食業分野を中心に勝訴事例が表れており、医療・化粧品製造業者のA社、ポッサム(韓国の豚肉料理)専門会社のB社、ピザ・フランチャイズのC社などが代表的な事例である。

中国商標権紛争勝訴事例

国内で知られるチキン・手作りバーガー・フランチャイズ業者のa社は、2017年4月に、無断先占された商標を通知してくれる特許庁のサービスを通じて、商標ブローカーが、自社の商標を中国で無断先占したことを知った。これを受けてa社は、特許庁の商標ブローカー共同対応事業に申込み、同商標権に対する無効審判を提起して2018年11月勝訴した。

これらの企業の勝訴原因を分析すると共通点がある。相手が商標ブローカーであることを立証することで、勝訴に導くことができたのである。

中国の商標当局は、2017年1月、商標ブローカーに対する審査基準を整備した。「出願人が大量の商標に対する権利を獲得した後、実際、その権利を使用せず積極的に商標の買取りを勧誘する、または譲渡手数料を要求する場合」などについては、使用の意思が不足するものと判断して、無効を宣告できるようにした。

勝訴した韓国企業は、中国当局の変わった基準を積極的に活用したものと分析される。中国で商標が先占された場合、まず相手が商標ブローカーではないか疑うことができる。勝訴した韓国企業は、相手の中国内の出願や営業の現状を分析して、正常な営業需要に比べて過度に出願していないか、故意に商標を模倣していないか、譲渡手数料を要求していないかなどを立証して、勝訴を勝ち取った。

同一のブローカーからの複数の被害企業が共同で対応すれば、相手の悪意性をより簡単に立証することができる。特許庁は、このような企業が協議体を構成して共同で対応できるように支援する。

一方、相手が商標ブローカーではないものの、中国内の販売商、代理人、加盟業者、現地職員など、特殊関係である場合は、取引上の契約書、雇用契約書などから特殊関係であることを立証し、無効、または異議申請をする方法も検討することができる。

中国は、2019年11月に施行される中国商標法(第4次改正)にて「使用を目的にしない商標出願」を拒絶または無効にすることができる根拠条項を明確にするなど、商標ブローカーの根絶に徹底する意思をみせている。

特許庁産業財産保護協力局長は、「中国が知的財産の保護強化を掲げ、実質的な措置を取っているだけに、韓国企業はこれを積極的に活用する必要がある。中国で紛争が発生すると韓国企業は、審判や訴訟などを始めようともしないのが現状だが、このような勝訴事例は、中国での商標権紛争で悩む韓国企業に効果的な対応方法を示すという点で意味がある」と述べた。

特許庁は、中国で韓国企業の商標の無断先占の有無を調査して、該当企業に通知する早期警報体系、共通の商標ブローカーを相手に、法的対応が可能になるよう共同対応協議体、輸出(予定)企業に紛争段階別のオーダーメイド型の知財権保護戦略を提供する国際知財権紛争予防コンサルティングを支援している。

特許庁支援事業の、商標無断先占早期警報体系、共同対応協議体、国際知財権紛争予防コンサルティングに関する詳しい事項は、(韓国知識財産保護院外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、電話02-2183-5835)まで。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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