知的財産ニュース 特許庁、素材・部品・設備分野の知財権隘路企業向け支援を中間点検

2019年11月25日
出所: 韓国特許庁

特許分析30件、紛争対応8件、特許事業化12件など、知財権隘路を発掘
企業に中核特許の対応戦略、R&Dの方向提示など支援成果の可視化

精密制御用減速機を製造・販売するY社は、独自の技術を基盤に世界の主要企業との競争で、グローバル企業として跳躍しようとしていたが、外国の競争会社との特許紛争により、事業化と技術開発に支障があった。このような状況下でY社は、特許庁の「輸出規制対応知財権支援団」から、競争会社の中核特許に対応できる戦略の提供を受けるなど大きな支援を受けた。

半導体用ウェハー関連の中小企業であるJ社は、新製品の開発のために研究開発を進める中、特許庁の「輸出規制対応知財権支援団」から、他の技術分野の特許分析による新たな観点からのアイデアの提供を受け、技術開発の方向を効果的に修正することができた。

特許庁は、日本による輸出規制措置以降に進めてきた、素材・部品・設備分野における中小企業の知財権関連の隘路支援成果を中間点検するために、11月25日(月曜)に企業の現場訪問および懇談会を開催する。

この中間点検は、8月の「輸出規制対応知財権支援団」の発足以来、知財権サービスの支援を受けてきた中小企業の意見を聴取し、改善方策を模索するために設けられた。

※素材・部品・設備分野における知財権隘路支援の中間点検の概要
(1)日時・場所:11月25日(月曜)13時00分から16時30分・特許庁ソウル事務所
(2)参加者:
  (特許庁)次長(輸出規制対応知財権支援団長)など
  (中小企業)特許分析サービスなど知財権支援の優遇企業
  (関連機関)特許戦略開発院、発明振興会、知識財産保護院
(3)内容:現場訪問(Y社)、知財権隘路・意見聴取・改善方策の模索に関する懇談会など

特許庁はこれまで、素材・部品・設備分野の中小企業に対する電話および訪問相談、素材部品需給対応支援センター、地域知識財産センターなどを通じて、計50件の知財権隘路事項を発掘し支援してきた。

まず、素材・部品・設備分野の中核品目(20+α)に対する特許分析の結果を基に発掘した該当分野の中小企業など(計48社)を対象に、電話および訪問相談を行い、そのうち、代替技術の開発などで困難な中小企業などに30件の特許分析サービスを提供した。

一方、外国競争企業との特許紛争に巻き込まれ、紛争の恐れがある8社には、紛争対応相談サービスを提供し、素材・部品・設備分野の中小企業の知財権紛争が早期に解決できるよう、「優先審査制度」も改善する予定である(2019年12月施行)。

また、海外商標出願、代替輸入先の確保、技術取引など計12社の特許事業化を支援し、素材・部品・設備分野の中小企業の優秀な技術が迅速に権利化できるよう、「優先審査」の対象を従来の「素材・部品」分野から「設備」分野まで拡大する予定(※)である。

※「素材・部品・設備産業の競争力強化に向けた特別措置法(2019年9月30日に発議)」の施行に合わせ、「優先審査告示」の改定を推進

特許庁次長(輸出規制対応知財権支援団長)、「韓国企業が技術競争力を備えるためには、緻密な特許戦略で研究開発の効率性を高め、韓国内外で中核特許を確保するのが重要である」としつつ、「今後、素材・部品・設備分野の中小企業が抱えている知財権隘路への支援を充実することで、より多くの中小企業が特許戦略(IP-R&D)の支援を受けることができるよう力を入れていきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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