知的財産ニュース 仮想現実スポーツを進化させる特許技術

2019年5月22日
出所: 韓国特許庁

先端IT技術との融合と種目の多様化傾向

余暇生活の需要に伴い天気の影響を受けずに、気軽に利用できて、そして安価な費用で楽しめるスクリーンゴルフのような、仮想現実スポーツが普及して久しい。2017年に1.2兆ウォン(注1)の売上を記録したスクリーンゴルフに適用されたセンシング技術とディスプレイ技術を基盤にする野球、ランニング、サイクリング、射撃、サッカー、ボウリング、テニス、釣り、カーリングなどの種目の派生市場まで形成され、全体の仮想現実スポーツ市場の規模は持続的に成長すると予想される。

特許庁によると、直近3年間(2016年~2018年)の仮想現実スポーツ分野の国内特許出願は357件であり、以前の3年間(2013年~2015年)の出願件数の211件に比べて約69%の大幅の増加であった。

これを種目別にみると、全体の出願の中で、多数を占めるスクリーンゴルフの出願が比較的に小幅の30%(79件→107件)増であった。一方、野球は179%(24件→67件)、サイクリングは131%(16件→37件)、釣りは550%(2件→13件)、新しく形成されている市場のテニス・バドミントン・水泳・クライミングは350%(4件→18件)など、他の種目で出願が急増している。これは、スクリーンゴルフの関連技術が成熟段階に入っていることと、種目の多様化傾向が反映されたためである。

一方、仮想現実スポーツに使用される特許技術をみると、先端IT技術の拡張現実(AR, Augmented Reality)、仮想現実(VR、Virtual Reality)などを、ヘッドマウントディスプレイ(HMD、Head Mounted Display)で提供してユーザーの視覚的没入感を高める技術が主である。ホログラム技法を活用した3D映像を空間上に具現化する技術も注目する点である。このような技術は比較的に激しくないながらも、周辺の環境の鑑賞が重視されるサイクリング、釣り、射撃などの種目に多様な方式で適用される。

さらに、身体にウェアラブルデバイスを装着し、またはカメラでユーザーの動きを精密に測定して、運動姿勢を比較評価し矯正する技術が出願されている。この技術は、ゴルフ、野球など、姿勢のコーチングが強調される分野でよく見受けられる。

最後に、人工知能(AI)技術を利用した仮想テニスが目立つが、これはユーザーのモーションを感知し学習したものを基に、ユーザーの性向と能力に応じて発射機と映像システムをコントロールすることで、ユーザーに実際にゲームを行っているような感覚を与える。

出願人別にみると、2013年~2018年基準で国内企業が55%(312件)、個人が26%(145件)、大学・研究機関が12%(68件)、共同出願が6%(36件)、外国が1%(7件)の順であり、企業と個人が71%と、大半を占めているところから主に製品化中心の技術開発が行われていると解釈される。

特許庁住居生活審査課長は、「最近、仮想現実スポーツはAR、VRなどの先端IT技術を取り入れ、ユーザーの没入感を最大化する方向で進んでいる」とし、「小学校で拡大・運営中の「仮想現実スポーツ室」を通じて低学年からでも容易に体験できるようになり、ワークライフバランスに対する認識の向上から市場の需要が拡大されると見込まれ、市場を先取りするためには他の先端技術分野との融合を通じて、仮想現実スポーツをさらに一段階跳躍させる技術開発が必要である」と述べた。

(注1)出処:2017年スポーツ産業白書(文化体育観光部)

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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