知的財産ニュース 未来自動車の核心、AIカメラ技術

2019年8月12日
出所: 韓国特許庁

車両用の映像認識分野の特許出願急増

ディープラーニングといったAI技術の発展に伴い、自律走行車の時代が遠くない未来に現実になる。これを可能にする中核技術としてAI映像認識が大きく注目を集めている。映像認識技術は、カメラを通して収集された情報を利用してAIが車両周辺の物体を感知して、その種類と意味を理解した上で多様な作動を提供する技術である。

最近まで、自律走行技術は技術進入の障壁が高く、長期的な投資と技術開発能力を確保した巨大ICT企業や自動車産業内の少数の企業が自律走行技術の開発を主導してきた。しかし、ここ3~4年でシリコンバレーを中心に映像認識技術を活用した自律走行技術を具現する企業が出現し、これまで高かった技術進入の障壁が早いスピードで崩れており、国内の中小企業の参加も活発に行われている。

特許庁によると、車両用の映像認識技術関連の特許出願が順調に続いており、特に中小企業の出願が2016年から急激に増加していると明らかにした。

車両用の映像認識技術関連の特許出願は、2010年は79件に過ぎなかったが、2013年に276件と3倍以上大きく増加しており、2014年以降、毎年平均215件が出願されるなど、関連する出願が順調に行われており、中小企業の場合、2014年の35件から2018年は98件と、年平均約29%増加したことが分かった。

車両用の映像認識技術は、最近、自律走行車市場の持続的な成長とディープラーニング技術が相まって発展する分野であるため、中小企業の市場参入が相対的に容易であり、今後もこのような出願傾向は持続されると予想される。

過去10年間(2010年~2019年6月)の出願人別の出願動向をみると、大企業534件(30%)、中小企業404件(22%)、大学332件(18%)、研究機関138件(8%)の順であったが、直近5年間は、大企業266件(28%)、中小企業252件(26%)、大学184件(19%)、研究機関68件(7%)の順と調査された。ここで注目すべき点は、大企業に比べて中小企業の出願の割合が最近高くなっているが、これは、初期は主に大企業で車両用の映像認識技術開発を主導してきたが、最近は中小企業の市場参入が増加して、技術開発とこれに伴う出願が増加したためと分析される。

また、技術分野別の出願動向をみると、客体の検出・認識および追跡技術が41%と最も高くなっており、その次を映像劣化およびカメラ歪曲を補正する前処理技術(16%)、アラウンドビューおよびパーキングアシスト技術(12%)が占めている。これは客体の検出と識別、追跡の正確度を高めるための技術が車両用の映像認識分野において最も重要な部分であることを意味する。

特許庁マルチメディア放送審査チーム長は、「車両用の映像認識技術は、小規模の人員と低費用で開発できるという点から中小企業が強みを持つことができる分野である。実際に中小企業の車両用の映像認識技術関連の出願件数は、大企業とで格差が縮まっている傾向にあり、ここ3年間で特許出願が急激に増加した」とし、「今後、関連産業の発展および雇用増大に貢献するものと期待されるだけに、中小企業が競争力を高めるためには、事前に特許戦略を策定して技術開発を行うことが何より重要である」と述べた。

一方、特許庁では、優秀技術を保有する企業の特許創出能力を強化するために、特許権と連携した第四次産業革命技術の研究開発戦略の策定を支援しており、特に海外進出の支援として海外市場別のオーダーメイド型知的財産戦略を持続的に提供している。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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