知的財産ニュース 特許審判院、商標認知度調査方法のガイドライン発表

2019年4月8日
出所: 韓国特許庁

特許審判院は、審判に提出される商標に対する消費者認知度アンケート調査の証拠能力を認めるためのアンケート調査方法のガイドラインを発表した。

この消費者認知度アンケート調査は、商標登録有無に対する審判において、該当商標が有名商標に該当するか、あるいはよくある標章ではあるが長年の使用により消費者に識別力が認められているかどうかを立証するために、商標に対する一般需要者の認識の程度を調査するものである。

米国・欧州など外国では商標紛争において、消費者の認知度が重要な証拠として活用され、最近韓国でも特許法院の判決にアンケート結果を反映する事例が増えており、消費者認知度調査のガイドラインの必要性が大きくなっている。

今回まとめた消費者認知度調査のガイドラインの主な内容は、アンケート調査は世論調査機関を通じて信頼性のある調査方法により実施されなければならなく、該当商品の消費者を代表できる特性(地域・性別・年齢など)が反映されなければならない。

調査方法は、回答の回収率が50%以上であれば信頼度があると認められ、回答の標本数は商品の種類によって流動的であるが、一般的に最低500人以上でなければならなく1,000人以上の場合、信頼度が高いとされる。質問方法も、誘導的ではならなく質問は簡潔かつ明瞭でなければならない。また、回答者の能力や経験からずれるものではならない。

特許審判院長は、「商標に対する消費者の認知度調査ガイドラインは、アンケート調査基準を明確に提示することで、審判当事者がアンケート調査をより効果的に活用できるよう実効性向上の側面がある」と述べた。

参照「商標に対する消費者認知度調査方法のガイドライン」

当事者が周知・著名商標または使用による識別力などに対する立証資料として「消費者認知度調査」(アンケート調査)を提出する場合、審判(審査)官はアンケート調査の信頼性評価を行う際、次の事項を考慮し総合的に判断する。

  1. 信頼性のある世論調査機関により検証された調査方法で実施されなければならない。
    世論調査機関の規模、世論調査実施回数、分析専門人員数(常勤)などを考慮し信頼性のある世論調査機関であるかを判断するが、各種制限がある場合などを勘案する。

    韓国ギャラップ・メディアリサーチ・リアルメーターなど現在活動している中央選挙世論調査審議委員会の登録機関(約80の機関)などは独立した世論調査機関とみなす。

  2. 対象商標・商品の消費者を代表できる特性(地域・性別・年齢など)が反映されなければならない。
    商品別に標本設定が異なることもあるため、商品の特性が重要な場合(例えば、女性専用用品や特定疾病・疾患に利用される医薬品など)はその特性が反映されなければならない。
  3. 調査方法も信頼度が高くなければならない。
    回答の回収率が30%未満の場合は信頼度が低いとされ、50%以上であれば高いとされる。ただし、30%~50%の間の場合は、裁量や判断の余地がある。

回答の標本数は、商品の種類によって流動的であるが、一般的に500人以下の場合は信頼度が低く、1,000人以上の場合は信頼度が高いと判断する。

質問方法は明確でなければならなく、誘導的であってはならない。

  • 1つのテーマに関するものでなければならなく、簡潔かつ明瞭な文章でなければならない。
  • 明確でない内容に推定されないようにしなければならず、全ての回答者に同様に理解されなければならない。
  • 回答者の能力や経験からずれるものであってはならず、一般的な事例を表現するために特定事例を使用または関連のない内容を質問してはならない。
  • 調査主体・方法が検証されていない独自のアンケート調査は信頼度に欠ける。
  • 判断基準時点から相当な時間が経過した後行われたアンケート調査は、当時の需要者の認識を反映できないため信頼度に欠ける。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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