知的財産ニュース 特許庁、特許登録料の減免拡大で中小企業の特許取引を支援

2019年7月8日
出所: 韓国特許庁

技術信託管理機関の特許登録料を減免
社会・経済的弱者に対する審判請求料の免除など施行

特許庁は、技術信託管理機関(※)に対する特許登録料の減免などの改正内容を盛り込んだ「特許料等の徴収規則」を7月9日から施行すると明らかにした。

※(技術信託管理機関)「技術の移転及び事業化促進に関する法律」に基づいて技術信託管理業の許可を得た機関(技術保証基金、韓国特許戦略開発院など)

1. 技術信託管理機関に対する特許登録料の減免導入

特許庁は、中小企業などが技術保証基金のような技術信託管理機関に信託(※)した特許権、実用新案権、デザイン権に対して、年次登録料を50%減免する。

※(特許信託制度)中小企業などが保有する特許権などを技術信託管理機関に信託して、技術信託管理機関は、これを移転、または実施権を設定するなど委託者のために特許などを管理する制度

これまで、特許登録料の減免対象である中小企業が、特許権などを信託する場合であっても、技術信託管理機関は特許登録料の減免対象に含まれず、登録料の減免を受けることができなかった。

しかし、これからは中小企業が技術信託管理機関に信託した特許権などに対しては、中小企業と同様に年次登録料の50%の減免を受けることができる。

これにより、技術信託管理機関の特許維持による年次登録料の負担が軽減され、技術保証基金のような技術信託管理機関を通じて中小企業が保有する特許技術の取引や実施契約などが、より促進されると期待される。

中小企業の特許信託および特許登録料減免概要

特許登録料の減免対象である中小企業が、特許権などを信託する場合であっても、技術信託管理機関は特許登録料の減免対象に含まれず、登録料の減免を受けることができなかったが、改正により中小企業が技術信託管理機関に信託した特許権などに対しては、中小企業と同様に、特許・実用新案・デザインの年次登録料の50%の減免を受けることができるようになる

2. 特許審判国選代理人が選任された当事者の審判請求料など免除

特許法などの改正により、社会・経済的弱者を対象に、審判の手続きにおいて国選代理人制度(※)が導入され、国選代理人が選任された当事者に対しては、審判請求料・訂正請求料を免除する。

※審判の手続きにおいて、小企業、青年起業者など、社会・経済的弱者が特許審判の当事者になった場合、特許審判院長が国選代理人を選任する制度(2019年7月9日施行)

これにより、社会・経済的弱者や中小企業などの知的財産権をめぐる審判の手続きで、代理人選任および審判請求費用の負担が大きく軽減されると期待される。

※国選代理人の選任対象、手続きなど、詳しい事項は「特許審判院国選代理人選任及び運営に関する規則」、特許審判院ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなど参照

3. PCT国際調査に対する手数料の引下げおよび減免拡大

特許庁が、特許協力条約(PCT ; Patent Cooperation Treaty)に基づく国際調査機関として、英語作成によるPCT国際調査関連の手数料を、現行の130万ウォンから120万ウォンに引下げる(※)。

※世界知的所有権機関(WIPO ; World Intellectual Property Organization)の通知および公知期間を経て3カ月が経過した2019年10月9日以降の国際出願から適用される予定

また、途上国の国民が韓国特許庁を国際調査機関に指定して依頼した国際調査に対しては、国際調査手数料を75%減免する一方、韓国特許庁で国際調査が行われた件を韓国に出願する場合は、国内審査請求料の減免率を現行の30%から70%に拡大する。

これにより、韓国企業などが特許庁を国際調査機関として指定することで、権利獲得費用を節減することができるとみられる。

4. 電子ファイル登録証の発給促進および特許手数料納付方式の改善など

特許権、実用新案権、デザイン権、商標権の設定登録時に、電子文書で発給する特許・登録証を受領すれば設定登録料1万ウォンを減免する他、電子文書で発給する特許・登録証は無料で再発給することで、電子ファイル形態の特許・登録証の活用を促進する計画である。

また、これまで特許権などの権利を抹消登録する場合に、5,000ウォンの手数料を納付する必要があったが、これからは無料化にし、特許権などの権利維持の意思がない者が、費用なしで抹消登録の申請ができるようになる。

一方、平均減免率(※)の計算時に、これまでは小数点以下を切り捨てる方式だったが、これからは小数点以下を切り上げる方式に変更して、出願人を優遇する計算方式に改善した。

※(平均減免率)個人、中小企業、中堅企業など、特許手数料などの減免比率が異なる出願人が共同で出願する場合に適用される減免比率の平均

特許庁情報顧客支援局長は、「今回の改正により、社会・経済的弱者の特許手数料の負担が、より軽減されるだろう」とし、「これからも特許手数料の納付と関連して、経済的な負担は軽減させながら、特許の取引などは、より活性化する方策に改善していく」と明らかにした。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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