知的財産ニュース カメラ特許、これからは自動車とドローンが主導する!

2019年5月21日
出所: 韓国特許庁

自動車、ドローン用のカメラ出願、5年間でそれぞれ3倍、4倍増加

2000年代半ばのスマートフォンの本格的な登場とともに、スマートフォン用のカメラがカメラ産業をけん引してきた。しかし、最近はスマートフォンにおけるカメラ市場の成長は鈍化している一方、自動運転車やドローンに内蔵されるカメラ市場は拡大しており、これと関連する特許出願も大幅に増えていることが判明した。

特許庁によると、直近5年間(2013年~2017年)の自動車用のカメラ出願は3倍(23件→64件)、ドローン用のカメラ出願は4倍(14件→55件)近くに、大幅に増えた反面、スマートフォン用のカメラ分野は同じ期間で1.3倍の増加に留まった。

自動車用のカメラ出願の増加は、2014年から大型トラック、児童の通学車両対象の後方カメラ装着が義務付けられ、また最近は、車線維持支援装置、衝突予防システムなどが備えられた半自動運転車の本格的な販売に伴い需要が増えたためとみられる。

また、ドローンの活用分野が配達業、農業、放送業など、多様な領域に拡大され、ドローン用のカメラ関連の出願も急速に増えているとみられる。

カメラ分野の出願が多い企業には、LGイノテック、サムスン電気、サムスン電子を挙げられるが、これら3社が直近10年間で国内特許出願の1、2、3位を占めている。これらの企業は、スマートフォン用のカメラ特許を主に出願しているが、2015年からは自動車用とドローン用のカメラ出願も増やしている。特に、米国内でのカメラの特許登録順位をみると、直近10年間で、LGイノテックをはじめとする韓国企業の順位が早い速度で上がっており、海外においても特許競争力を高めていることが分かる。

韓国は、2019年末から、自動で自ら車線の変更や駐車が可能な自動運転車機能を、全ての車種に対して全面許可(注1)する予定であり、4月にはドローンの活用促進に向けて「ドローン法」も制定(注2)している。そのため、関連するカメラ市場はさらに拡大すると見込まれ、特許出願も増えるとみられる。

特許庁生活家電審査課長は、「これから、日常生活において自動運転車とドローンが広く使用されると見込まれ、関連するカメラ市場もさらに拡大すると予想される」とし、「急速に変わるカメラ市場で、競争力を維持するためには、国内外において関連特許を先制的に確保するなどの特許戦略が必要である」と述べた。

(注1)「自動車及び自動車部品の性能と基準に関する規則」改正(案)2019年4月立法予告

(注2)「ドローンの活用促進及び基盤造成に関する法律(略称:ドローン法)」2020年5月施行予定

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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