知的財産ニュース 新南方政策国家との貿易量増加により、商標出願も増加傾向
2019年12月4日
出所: 韓国特許庁
韓国への出願はシンガポール、新南方国家への出願はベトナムが最多
2007年、韓- ASEAN(※)のFTA締結以降、対ASEANの貿易が急速に増加している中、最近その国家とインドを含めた新南方政策国家(※※)の韓国への商標の出願総量とともに、韓国の新南方国家への商標出願件数も著しく増加したことが明らかになった。
※ASEAN (Association of South-East Asian Nations - 東南アジア諸国連合):シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ブルネイ、タイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアの計10ヵ国
※※新南方政策国家:ASEAN + インド
特許庁によると、新南方政策国家に対する貿易収支が2008年からの約10年間で、約4.7倍に増加する間、新南方国家の韓国への商標出願は計5,631件で2008年の379件から2018年には786件と、約2倍以上増加したと調査しており、韓国の新南方国家に対する海外商標出願は、計46,970件で2008年1,666件から2018年9,009件まで約5.4倍増加し、新南方国家が韓国に出願した件数より8倍以上高いと判明された。
新南方国家別の韓国への商標の出願件数は、シンガポールが計2,502件を出願し全体の約半分を占め、その次にタイが963件(17%)、マレーシア818件(15%)、インド508件(9%)、インドネシア490件(8%)、ベトナム173件(3%)で、韓国の新南方国家への商標出願は、ベトナムが計12,550件(26.7%)、タイ7,675件(16.3%)、マレーシア6,634件(14.1%)、シンガポール6,484件(13.8%)で、ベトナムにもっとも多く出願していることが明らかになった。
新南方国家が韓国に出願している現況を商品別で分析すると、コーヒー、茶類、果物などの農産物分野が1,004件、全体の17.8%で最も多く、その次に化粧品類(6.4%)、生活・家電製品類(6.3%)、衣類・靴類(4.6%)で、生活用品や身の回りの品より、食品類が多く出願され、サービス業では、卸・小売業(7.7%)と飲食・宿泊サービス業(5.9%)分野が多く出願されるということが分かった。
また、新南方国家が韓国に出願した内容の国家別特徴をみると、各国が多数出願している食品類を除くと、シンガポールが生活家電製品、タイとベトナム、マレーシアは化粧品、インドネシアは紙類製品が特に多く、インドは薬剤類の出願が最も多いという調査結果が出た。
新南方国家の人口はASEANの10の加盟国が6.4億、インドが13.7億で、この地域を合わせて20億を超える巨大市場として、経済成長と韓流文化コンテンツなどの影響により貿易が急速に増加している傾向であり、このなかで、シンガポール以外はほとんど経済成長の発展段階の国であるため、韓国への商標出願は多くないが徐々に増加しており、その地域との交流は、最近行われた「韓-越文化交流」のように文化や様々な分野でさらに活発になっていくと期待している。
特許庁の商標デザイン審査局長は「新南方国家への進出を希望する企業は、中国と同様に韓国商品の模倣品による被害が発生する可能性があるため、貿易に先立って現地の商標権確保とともに、知財権侵害予防と対応にも関心を持つべきである」と助言した。
一方、11月25日の韓・ASEAN特別首脳会議をきっかけにソウルで開催された「韓・ASEAN特許庁長会議」では、健全な知的財産のエコシステムを作るための優秀特許創出、知的財産の価値を尊重するための保護、知的財産の事業化促進に向けた活用分野協力に合意する共同宣言文を採択した。このような合意に基づき、韓国企業はASEANでより簡単で早く特許権を取得できるようになり、進出企業の知財権保護もさらに強化される見通しである。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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