知的財産ニュース フッ素系シリコーンの薄膜、封止材および粘着剤などの素材特許に注目

2019年10月28日
出所: 韓国特許庁

半導体工程素材の甘草、フッ素系シリコーン

「薬屋に甘草」という言葉は、漢方薬を処方する際にはいつも甘草を入れるという意味で、半導体の生産工程においてもフッ素系シリコーンは「薬屋に甘草」のように使われている。

フッ素系シリコーンは高温での高い引張強度、優秀な電気絶縁性と耐化学的な特性により、半導体の工程で粘着剤、封止材、薄膜などの用途を持っている重要素材として成長している。

特許庁によると、ここ10年間(2009年から2018年)における特許出願は189件で、2009年以降から2017年まで持続的に増加してきた。

最近5年間(2014年から2018年)の細部技術の適用対象別では、半導体の工程においてのフッ素系シリコーンの薄膜用途が48件(44%)、粘着剤用途が12件(11%)、封止材用途が8件(7%)、その他の表面処理剤、エッチング液などの用途が40件(37%)であることが明らかになった。

2014年から2015年には、粘着剤および封止材の用途がフッ素系シリコーンに関わる全体出願の60%と、集中的に出願されていたが、2016年から2017年には薄膜用途が58%で大半を占めている。これは、粘着剤および封止材の用途より薄膜の活用範囲がさらに広く、第四次産業革命の重要素材であるAI半導体、モノのインターネット(IoT)など、半導体基板と新素子の設計および構造変更に使われているためである。

出願人の動向を見ると、ここ5年間(2014年から2018年)のダイキン工業株式会社など日本企業による出願は全体の46%、東友ファインケムなど韓国企業による出願は34%を占めており、日本企業の方が韓国企業より高い割合を占めていることが分かる。

最近5年間(2014年から2018年)、日本企業は粘着剤および封止材用途でそれぞれ、9件(12%)と3件(6%)を出願しており、韓国企業が出願した4件(11%)、5件(14%)と同様である。ただ、薄膜用途の場合、日本企業が32件(64%)と、韓国企業の12件(32%)より2倍以上多いことが分かった。これは日本企業がフッ素系シリコーンの中、薄膜技術を中核特許として確保するために力を入れているためである。

特許庁高分子繊維審査課長は、「最近、日本の輸出規制による半導体素材の国産化率が高くないため、高付加価値と高機能の両方を保有している特許素材のフッ素系シリコーンに対する、能力のある韓国企業の技術開発と中核特許の保有が重要である」と伝えた。

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