知的財産ニュース 金属を用いた水素貯蔵・運搬技術分野の特許出願が活発

2019年10月24日
出所: 韓国特許庁

水素経済に対する社会的関心が高まっている中、金属を活用して水素を安全に貯蔵して運搬する技術に関する特許出願が活発であることが明らかになった。

特許庁によると、金属を用いた水素貯蔵・運搬技術に関する特許出願件数は、ここ5年間(2014年から2018年)に135件と、その以前の5年(2009年から2013年、101件)に比べて33%以上増加した。

水素が未来のエネルギー源として脚光を浴びており、水素を安全で効率的に活用するための企業の関心が反映されたものと解析される。

技術分野別の出願動向を見ると、固体水素の貯蔵・運搬技術が226件(95.8%)と最も多く、気体水素および液体水素の貯蔵・運搬技術が10件(4.2%)であることが分かった。

固体水素の貯蔵・運搬技術が大半を占めている理由は、冷却または加圧すると水素を吸収し金属水素化物となり、加熱または減圧すると水素を放出する水素吸蔵合金を使用することができるためである。

水素吸蔵合金を使用すると、水素が金属水素化物の固体状態に貯蔵され爆発の危険がなくなり、水素の体積を気体水素の貯蔵用高圧ボンベの約7分の1に縮小することができるため貯蔵性が向上される。

固体水素の貯蔵・運搬技術の中では、水素貯蔵の効率などを高められる水素吸蔵合金自体に対する特許出願が67件(28.4%)であり、自動車、船舶、貯蔵設備などに使われる容器、タンクなどの製造に水素吸蔵合金を活用する技術が159件(67.4%)を占めていた。

出願人別の特許出願では、内国人は191件(80.9%)、外国人は45件(19.1%)を出願したことが調査で確認された。内国人の特許出願は国内企業の割合(105件、44.5%)が最も高く、研究機関は(43件、18.2%)、大学は(22件、9.3%)、個人は(21件、8.9%)の順で特許出願が活発であることが分かった。外国人の特許出願では、日本(24件、10.2%)、米国(12件、5.1%)、欧州(7件、3.0%)の順で出願の割合が高かった。

特許庁金属審査チーム長は、「水素経済社会では、水素の安全な貯蔵・運搬技術が重要技術の一つであり、これに対する技術開発はこれから活発になると予想されている」とし、「市場の先取りのために、源泉技術および知的財産権を確保することが何より重要である」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195