知的財産ニュース 中小・ベンチャー企業の海外出願支援に向け「先行技術情報の提供事業」を施行

2019年10月24日
出所: 韓国特許庁

特許庁は、海外特許権を確保しようとする中小・ベンチャー企業を支援するために、出願発明に対する先行技術情報を特許審査の前に提供する、「先行技術情報の提供事業」を10月28日から施行する。

支援対象は、過去5年間にPCT国際出願を受けたことがある企業や、特許庁の知財権創出支援事業である「IP翼(ナレ)」、「グローバルIPスター企業」の支援を受けている約8,500の中小企業である。

審査請求をしてから3ヵ月以内の出願に対して申請することができ、2ヵ月後に専門の調査機関による先行技術調査の報告書を無料で提供する。

大企業では、特許出願をする際に関連の先行技術を事前に調査・分析し、海外出願に向けた戦略まで立てるケースが多い反面、ほとんどの中小・ベンチャー企業では、知的財産を担当する人材と資金が不足しているため、先行技術調査を基盤にする海外出願戦略をまともに樹立しないまま特許出願をするケースが多かった。

同事業は、これらの中小・ベンチャー企業に先行技術情報を提供し、費用がたくさんかかる海外出願を進める前に、海外特許の獲得可能性を判断し、適正な権利範囲を設定するなど、海外出願の戦略を立てることに相当役立つと期待されている。

また、関連する先行技術情報を早期に提供することで、先行技術調査なしに出願して見逃す恐れのある技術的事項の補完、改良発明の実施による優秀な特許権の獲得にも役立つと予想される。

先行技術調査の専門機関が運営する下記のウェブサイトの中一つを選び、ウェブサイトにアクセスして申請することができ、同事業に対する詳細な情報も閲覧できる。

「先行技術情報の提供事業」の申請ウェブサイト

専門機関名 アドレス 備考
特許情報振興センター https://www.preexam.co.kr 専用サイト
wips https://www.preexam.co.kr 「先行技術情報の提供事業の申請」
メニューで申請可能
IPSolution http://www.ipsolution.co.kr 「先行技術情報の提供事業」
メニューで申請可能
KTG http://www.iktg.com 「特許情報調査」→「先行技術情報の提供事業」
メニューで申請可能
TOTALIP https://www.totalip.kr 「先行技術調査申請」
メニューで申請可能

※事業の管理機関である「韓国特許戦略開発院」のサイト(https://www.kista.re.kr)の「事業情報」の掲示板でも詳細な情報を閲覧することができる。

特許庁特許審査企画局長は、「先行技術調査事業は元々、特許庁の特許審査を支援することが目的であるが、同事業は出願企業にも直接的に役立てられるようにすることで、先行技術調査事業の意義を見直すきっかけとなった」と評価し、「申請規模と事業の効果を分析し、対象企業をさらに拡大するための方策も検討する予定である」と伝えた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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