知的財産ニュース パワー半導体、電気自動車に羽を!

2019年10月21日
出所: 韓国特許庁

次世代パワー半導体に関わる特許出願が急増

一般的に「半導体」と言えば、情報を記憶して処理するメモリや演算装置が思い浮かぶ。しかし、電気自動車の燃費改善など、エネルギー効率のイノベーションに重要な役割を担っている半導体がある。電気エネルギーを各種のシステムが必要とする形に変換して供給するパワー半導体である。ブルームバーグ(BNEF※)によると、電気自動車は2017年に世界市場で100万台の年間販売量を突破した以降、2025年には1,000万台を突破し、急速に内燃機関を代替すると見込まれている。この電気自動車において、一台当たり100個以上が使われるパワー半導体も新たに注目されている。

※Bloomberg New Energy Finance

パワー半導体の世界市場の規模も、2017年の178億ドルから2025年には299億ドルへと、年平均6.7%増加すると予想される。

※出所:矢野経済研究所(Yano Research Institute)

特許庁によると、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)基盤の次世代パワー半導体に関わる特許出願が、最近急増したことが分かった。

出願件数は2015年に10件、2016年に13件、2017年に18件と次々増加し、2018年には33件と、2017年に比べて83.3%急増した。

これは、電気自動車・再生可能エネルギーなど、高電圧の応用分野における需要の急増が見込まれるパワー半導体に対する研究開発が活発になったためと分析される。

従来のシリコン(Si)基盤のパワー半導体は安価な反面、厳しい車両運行の環境下でも高度の耐久性・信頼性を保障するには、構造や設計の改善だけでは限界があった。

しかし、最近注目されている炭化ケイ素、窒化ガリウム基盤のパワー半導体は、シリコンに比べて高温・高圧でも安定的に作動する優秀な物質特性を保有している。これにより、パワー半導体の電力効率の向上および小型化・軽量化を画期的に改善することができる。

ただ、工程の具現が難しく費用がたくさんかかるため、本格的な商用化に向けては解決すべき技術的な課題も多い。

出願人関連の動向をみると、2015年に40%だった内国人による出願の割合が、2018年には66.6%に急増した。

メモリ分野に比べ劣っていると評価される非メモリのパワー半導体分野においても、韓国企業が積極的に投資しているとみられる。

また、2017年以前は年間5件未満だった中小・中堅企業の出願件数が、2018年には13件へと大きく増えたことも分かった。

特に、2019年5月に発表された「システム半導体のビジョンと戦略」には、ファブレスの創業と成長に対する支援と、次世代パワー半導体の開発への集中支援に関する内容が含まれており、中小・中堅企業をはじめとする韓国企業の出願は、今後もさらに増加すると予想される。

特許庁電子部品審査チーム長は、「各種の環境規制により、エネルギー効率が重要となっており、ファブレスの中小・中堅企業においてもパワー半導体分野は機会の領域である」としつつ、「高い信頼性が求められる産業の特性上、技術能力を着実に蓄積し、強い特許で武装する必要がある」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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