知的財産ニュース ハングルを美しく、ハングル字体のデザイン出願が活発

2019年10月7日
出所: 韓国特許庁

企業・自治体など、ハングルの造形美を表現した字体の活用が活発

ハングルで書かれたBTSの歌が世界中に鳴り響き、全世界に「ハングル勉強」のブームが広がっている中、ハングルが持っている造形美を個性的に表現したハングル字体のデザイン出願が増加していることが分かった。

訓民正音頒布573年を迎え、特許庁でハングル字体のデザイン出願動向を分析したところ、ハングル字体をデザイン権利として保護し始めた2005年以後から現在まで、計852件が出願され、この中、584件が登録されたことが分かった。詳しくは、導入初年の2005年には6件に過ぎなかった出願件数が毎年増加し、2011年には97件と最大出願件数を記録し、15年間に年平均57件が出願されるなど、着実に増加している。同じ期間における英文と数字の字体の年平均出願件数が、それぞれ37件と27件であることに比べると、著しい成長傾向である。

ハングル字体の開発と出願が増加した最も大きな原因は、企業と機関、自治体が自らのアイデンティティを最も効果的に表現できる専用字体の需要が増加したためである。さらに、「フォントはフリー 」という過去の認識を変え、字体を使うためにも費用を支払わなければならないという社会的認識の変化に加え、個人が字体を簡単に購入できるインターネットプラットフォームの充実も影響していると分析される。

一方、資本と人材が足りない個人の字体デザイナーの場合、クラウドファンディングを通じて、新たな字体に対する大衆の関心を呼び起こし、字体の開発費用を補っており、注目を集めている。

※クラウドファンディングは、大衆を意味する「クラウド(Crowd)」と、資金調達を意味する「ファンディング(Funding)」を組み合わせた言葉で、資金を必要とする需要者がオンラインプラットフォームなどを通じて、不特定多数の大衆から資金を募ることを意味する。

ハングル字体の開発と普及の拡大は、ハングルが読んだり、書いたりする文字としての情報伝達の手段を超え、美的・造形的価値を内在しているデザインとしての社会的価値の実現、そして企業ブランドのイメージ向上および自治体の広報に至るまで、その活用の範囲が広がっていることを意味する。

GS Caltexは三・一独立運動と大韓民国臨時政府の樹立100周年を記念し、アン・ジュングン、キム・グなどの独立運動家の筆跡を再構成した「独立書体」を制作および普及し、韓国の国民から高い関心を集めている。CJ CheilJedangとHarimは食品の特性を手書きで表現した、「CJの味わい体」と「Harim新鮮体」を開発し、自社製品のマーケッティングに活用している。ソウル市は漢江(ハンガン)と南山(ナムサン)の名称を付けた「ソウル書体」を開発し、道路および地下鉄駅の表示板、住民センターの懸板などに使用しており、済州市は火山島と玄武岩の質感を表現した、「済州書体」を通じて、済州のみの文化的固有性を効果的に表現している。

特許庁商標デザイン審査局長は、「企業は自社のアイデンティティの強化とイメージ統合のために、自治体は地域商品および観光コンテンツなど地域ブランドを広報するために、ハングルが持つ造形的特徴を積極的に活用すると予想され、これにより今後も多様で個性のあるハングル字体のデザイン出願が増えると見込まれる」と述べた。

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