知的財産ニュース 特許庁、WIPO総会の期間中に高官級会談を開催

2019年10月4日
出所: 韓国特許庁

第59次世界知的所有権機関(WIPO;World Intellectual Property Organization)(※)加盟国総会に、韓国の首席代表として参加した特許庁次長は、9月30日から10月2日にかけて、シンガポール、ラオス、インド、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ブラジル、米国、欧州特許庁(EPO)、フランス、スウェーデンなど、10の特許庁と連鎖的に会談を行い、知財権分野における協力方策について議論した。

※WIPOは国連傘下の16専門機構の一つで、知的財産分野の全般を総括する国際機関である。WIPO加盟国総会は191ヵ国の加盟国の特許庁長が参加し、特許制度の調和、発展途上国に対する技術支援など、知的財産関連の主要国際懸案について議論する場として、毎年9月から10月中に、WIPOの本部が位置するスイスのジュネーブで開催される。

特に、今回の総会をきっかけに、政府レベルで行われている新南方政策を、知財権分野で本格的に展開するための韓-ASEAN協力が、より堅固となった。

まず、メコン国(※)の一つであるラオスと、知財権分野における包括的協力MOUを締結することで、ラオスを含むASEAN国家の知的財産能力開発に向ける、協力パートナーとしての韓国の役割がさらに強化された。

※最近数年間、年5~7%水準の高速経済成長を上げているメコン川流域の5地域であるミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムなどを称する。

また、ASEANで最も革新的な知的財産政策を行っているシンガポール特許庁は、知的財産の事業化に関する韓国の経験の共有を要請し、11月に開催される韓-ASEAN特別首脳会談と連携して開かれる予定の韓-ASEAN特許庁長会談の開催にかかわって、全面的に協調することを約束した。また、韓国代表団はタイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、カンボジアなどとも次々と会談を行い、「韓-ASEAN知財権協力共同宣言」の採択など、知財権協力の成果を最大化するための方策を議論し、同会談に対するASEAN加盟国の支持を確認した。

これと同時に、代表的な新興市場で、韓国企業の知財権の協力需要が高いブラジル、インドと二国間会談を開催し、現地に進出する韓国企業に対する、友好的な知的財産環境の構築方策についても議論した。

韓国とは初めて知財権分野の高官級会談を行ったインドは、優秀な知財権システムを備えた韓国との協力意志を表明した。そして、両国は年内に協力体系の構築、協力可能分野の発掘などを終え、2020年から本格的な知財権協力を進めることに合意した。

特許登録にかかる期間が長いとの理由で、韓国企業の特許協力を特に強く求めてきたブラジルとはPPH(※)、特許行政自動化などの協力分野を明示している、「韓-ブラジル包括的知財権協力MOU」を締結した。韓-ブラジル間のPPHが施行されると、現在、7~8年以上かかっている特許権確保までの期間が、1~2年以内に大幅に減少すると見込まれる。

※特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway):PPHを施行すると、韓国の出願人が相手国で特許をより簡単で迅速に登録できる。

韓国型特許行政システムの導入が進められている中東のアラブ首長国連邦およびサウジとも、新たな協力が展開された。

まず、アラブ首長国連邦とは「人工知能に関する包括的協力MOU」を締結した。現在本格的な議論が進められている人工知能の特許行政の導入、人工知能関連発明の保護などに関する協力を進めることにしたもので、未来志向的な知財権協力の足場を立てたと評価される。

サウジとは、韓国が参加して行われている、サウジ国家知的財産戦略の樹立事業に関する今後の履行方策について議論した。サウジ側の費用負担で現地に派遣されている韓国知的財産専門家13人が進めているこの事業の進行状況に、サウジは感謝の意を表明し、弁理士制度の導入、特許行政情報システムの開発など、具体的な成果を導き出すため、韓国側に持続的な協調を要請した。

一方、米国特許庁(USPTO)、欧州特許庁(EPO)との高官級会談を通じて、新技術(New Emerging Technology, NET)と人工知能(AI)に関する協力を強化していくことに合意し、フランス、スウェーデンとの会談では、イノベーションに貢献する知財権の役割に対する議論を強化していくことを約束した。

特許庁長は、「今回の総会の期間中に、韓国との会談を求める国家が多かったのは、知財権分野での韓国の存在感を証明することである」とし、「今回の協力成果が、11月の韓-ASEAN特別首脳会談と連携して行われる韓-ASEAN特許庁長会談の成功と、新興市場の知財権環境の改善による、韓国企業の現地進出の活性化に貢献することを期待している」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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