知的財産ニュース 人体臓器をチップ上に、動物実験に代わる臓器チップの開発が活発

2019年10月4日
出所: 韓国特許庁

バイオ技術とIT技術が融合した、人体臓器チップに関する出願が増加傾向

最近、化粧品・新薬開発のブームにより、年間約400万匹(2018年に372万匹)の実験動物が犠牲されているが、人体と動物の疾病様相と毒性反応には差があり、これまでの動物実験は予測可能性の面で限界があった。このような動物実験の限界を乗り越える代替試験方法として、人体の生理的特性を的確に再現した臓器チップ(organ on a chip)が大きな注目を浴びている。臓器チップ技術は血管、肺、肝など人体の臓器を構成する細胞を三次元に培養し、電子回路が形成された微細流体チップの上に置いて、実際の人体と同様の生態環境を模倣することで、薬物に対する反応性を試験する技術である。

特許庁によると、2009年には14件に過ぎなかった特許出願は、欧州連合(EU)が倫理問題を理由に、動物実験を経た化粧品の製造・販売を禁止した2013年を皮切りに25件、2014年には41件、2015年には45件、2016年は67件、2017年は77件に増加した。まだ未公開の特許が存在している2018年を除くと、2017年には2013年に比べ、特許出願が3倍まで増えたことが分かった。

技術別出願現状では、細胞を三次元に培養して増殖する培養技術に関する出願が23%(93件)と最も多かった。これは臓器チップを通じて、人体内の薬物反応を信頼できるように予測するためには、臓器別の立体構造と生理的特性をそのまま再現した細胞の培養は必須であり、関連出願が活発に行われているとみられる。

続いて、三次元細胞培養の素材と装置に関する出願がそれぞれ20%(79件)と18%(74件)、チップ上に具現したセンサー装置に関する出願が12%(49件)、臓器チップを利用した薬物試験方法に関する出願が10%(36件)と調査された。

出現人を類型別に見ると、大学が198件で49%を占めており、外国企業が20%(82件)、中小企業が15%(60件)、研究機関が9%(35件)の順で、韓国の大学と外国企業の出願割合が高かった。その原因は、米国などの主要国では、特定の疾病モデルの臓器チップがすでに常用化されている一方、韓国では基礎研究段階にとどまっているためと分析される。

特許庁バイオ審査課長は「臓器チップ技術は、動物実験の倫理的論争を避けられるだけでなく、カスタマイズ型医薬を話題としている新薬開発の重要技術として注目されており、大学や研究所に拠点を置いているスタートアップも、臓器チップ関連の特許ポートフォリオを体系的に構築し、知財権に基盤する強小企業として成長する土台を整えなければならない」と強調した。

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