知的財産ニュース 特許庁・大田地検、無分別な韓流便乗にブレーキをかける

2019年9月26日
出所: 韓国特許庁

商法上の内国法人の解散、商標権の取消、海外の取り締まりなど

特許庁と大田地方検察庁は、いわゆる「韓流便乗企業(※)」の代表的事例であるA株式会社(外国A社の韓国法人)と、B株式会社(外国B社の韓国法人)に対する法院の解散命令決定を導いたと発表した。

※韓流の人気に便乗して、韓国製の製品に見せかけるように表記した化粧品などを販売する海外企業

これらの外国企業は、韓流が高い人気を集めている東南アジア諸国を中心に、まるで韓国ブランドであるかのように、現地の消費者を誤解させる営業戦略で販売網を拡大しており、韓国ブランドのイメージダウンおよび韓国企業の輸出減少などが心配される状況であった。

自社のウェブサイトや店舗の看板に韓国国旗、「KOREA」を表示し、販売製品には間違えた文法で書かれた韓国語の表紙が貼り付けていた。また、韓国内では営業活動を全くしていない韓国法人を、商標権の所有者として紹介するなど、現地の消費者がこれらの企業を韓国企業であると思うよう誤解させていた。

さらに、Kビューティーとして有名な韓国化粧品の外観を模範することや、韓国の有名キャラクターを完全にコピーした多数の製品を、正規品価格の2分の1から3分の1水準(例)で販売するなど、韓国企業に大きな被害を与えていた。

例:韓国製の正規品クレンジングフォームは8,000ウォン、外国企業の模倣品は3,000ウォン

これを受け、特許庁は2018年に海外知識財産センター(IP-DESK)と大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の貿易館を通じて、世界中の韓流便乗企業に関する現況調査を行い、その中、韓国内にペーパーカンパニーを設立するなど、違法性の程度が重大と判断された企業の情報を大田地検に渡した。

大田地検は、2018年7月に特許庁から関連資料を受け取り、韓国内有名化粧品企業の被害状況を調査、関連の韓国内の法人に対する強制捜査に加え、法人設立を代行したコンサルティング会社の関係者を調査した。

その結果、A株式会社とB株式会社は2014年11月3日と2015年11月3日に、韓国内においてそれぞれ法人を設立した後、定款に定めている営業を開始した事実がなく、内国法人は不正競争の目的で設立されたペーパーカンパニーにすぎない上、代表者の法令違反の程度が重大であるため、内国法人の存続を許容できない状態であることが確認された。

これにより、大田地検は2019年4月3日、A株式会社の所在地法院であるソウル中央地方法人と、B株式会社の所在地法院のソウル南部地方法人に、AとBに対する解散命令を請求した。

請求の後、訴訟の維持に万全を期した結果、2019年8月に該当の法院からA株式会社、B株式会社を解散するとの解散決定を導いた。

これは、検事が公益の代表者として、不正競争のために設立されたペーパーカンパニーに対し、商法上の法人向け解散命令を請求することにより、外資系の流通企業が韓国ブランドおよびイメージを利用して製品を販売することができないようにした事例として、外国企業の不正競争行為を根源的に遮断できる実効的制裁措置を取ったことで、意義がある。

特許庁は大田地検との共同対応に加えて、これらの企業に対する国内外の現況調査と法律検討を基に、今年の2月に産業通商資源部、外交部、文化体育観光部など9部処が参加する部処タスクフォース(TF)を立ち上げ、5月には「海外の韓流便乗企業に対する対応策」(2019年5月、経済活力対策会議)を構築した。

特許庁は、これまで外交部、産業通商資源部、文化体育観光部などと協力して、海外で大きな被害を受けた韓国の化粧品会社を中心に、被害企業への支援を強化しており、海外の現地機関と緊密に協力し、韓流便乗企業の「模倣品韓流製品」について積極的な取り締りを実施している。

2018年からは、深刻な被害を受けた化粧品会社を中心に、該当の企業らが共同対応協議体を構成するよう支援した。また、韓国の化粧品6社が共同で侵害禁止警告状を送り、中国、ベトナム、タイで販売されていた23品目に対する販売停止を誘導した。

韓流便乗企業が多い東南アジア諸国を中心に、現地の政府機関と緊密に協力し、ベトナムにおいては57店舗で約13万製品を押収または廃棄させ、外国A社に1億ドン(VDN)の罰金を課した。タイでは138品目の1,300点余りが押収された。現地機関による取り締まりの後、外国A社の店舗の看板や包装袋から「KOREA」の文字が削除されるなど、露骨だった韓流便乗形態の変化が確認された。2019年7月に中国の広州では、外国A社など3社に対する取り締まりが行われ、韓国内3社の5ブランドの23品目について自主撤収し、追加生産を停止させたことがある。

特許庁は、海外現地での追加的な取り締まりを促すため、2019年も両者会談、公務員招請研修プログラムなどを行い、現地の知的財産関連機関との連携を強化している。

一方、A株式会社が韓国内で保有している一部の商標(※)について取消審判が提起され、特許審判院が取消を決定したことに加え、B株式会社など一部の韓流便乗企業が韓国内に登録したドメインも抹消された。

※登録から3年が経った商標2件について不使用取消審判が提起され、2件とも特許審判院により認容決定された。

大田地検と特許庁は、今後、A株式会社とB株式会社の解散命令の結果を、外交部と公館を通じて海外の政府機関と共有し、追加的な取り締まりを促すなど、韓流便乗企業に対する現地の対応を持続的に強化すると同時に、韓国企業が海外で直面している特許紛争、偽造商品の流通など、多様な種類の知的財産権侵害を積極的に支援する予定である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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