知的財産ニュース 特許戦略を立て、R&D成果と技術保護とも手に入れる

2019年3月13日
出所: 韓国特許庁

特許庁と中小企業部、スタートアップにR&D資金とIP-R&D戦略をパッケージにして支援する「R&D + IP戦略」の共同事業を推進

(事例1)スタートアップA社は、読者の好みに合わせてインターネット小説などをおすすめするソリューションを開発するために、「R&D + IP戦略」事業に参加した。まず、特許庁のIP-R&Dを通して世界の関連特許を分析し、そのうち類似分野である「動画推薦技術」の特許14件のアルゴリズムをベンチマークして開発戦略を立てた。その後、中小企業部からR&D支援を受けて研究開発を進め、短期間で精度を高めた新技術と特許を確保した。この成果に基づきVCからの投資誘致に成功し、3月に米グローバルIT企業と提携して海外進出も推進している。

(事例2)半導体の部品機器メーカーB社は、新事業として加湿器市場に参入するために「R&D + IP戦略」に参加した。製品開発の方向も決めていない状況で、特許庁のIP-R&Dを通して、まず、国内外の競合他社の特許7,000件を分析して技術を把握する一方で、侵害が懸念される中核特許9件については回避設計をすることで、特許リスクを解消した。さらに消滅特許7件から新規アイデアを導出し、IoTの新機能を備えた加湿器の設計を完了した。その後、中小企業部からR&D支援を受けて製品化に成功し、4月に試作品の開発を完了し、発売する予定である。

韓国特許庁と中小ベンチャー企業部(以下、中企部)は、技術ベースのスタートアップを対象に、R&D資金と「IP-R&D戦略(注1)」をパッケージにして支援する「R&D + IP戦略」の共同事業を今年、本格的に推進する。

「R&D + IP戦略」は、IP-R&Dを基に最適な方向を設定した後、研究開発を進めることで、R&D資金の支援効果を高めるとともに、強い知的財産権を確保してスタートアップの技術奪取および特許紛争を防止するための事業である。

特許庁と中企部は昨年初めて試験的にこの事業を推進し、スタートアップ40社に中企部の創業成長技術開発R&D資金と特許庁のIP-R&D費用など、計104億ウォンを支援した。

特許庁と中企部が昨年の支援成果についてアンケートした結果、支援を受けた企業の満足度は98.7%(非常に満足する74.0%、満足する24.7%)と非常に高かった。

特に、戦略を策定することで試行錯誤を減らし、技術開発および事業化に必要とされる時間・コストを削減できること(事例1)、先導企業の特許の回避策を製品開発に直ちに反映できること(事例2)など、スタートアップにとっては実質的に役立つことが分かり、支援を受けて企業内の知的財産権に対する理解度と認識が高まったとの回答も多かった。

今年はこのような事業の成果をもとに、昨年より10%増の44社に、中企部のR&D 176億ウォン、特許庁のIP-R&D費用35億ウォンなど、前年比2倍増の211億ウォンを投じ、昨年の事業で一部不足していた部分については補完する。

人工知能、ブロックチェーン、5G移動通信、AR/VRなど、第四次産業革命の分野で、「スケールアップ(scale-up)」段階にある、立ち上げ3年以上7年未満の企業に集中的に支援する。

従来の1年2億ウォンのR&D支援では、戦略に沿った研究開発の日程が短いという意見を反映して今年は2年4億ウォンに増やしたため、初期に策定したIP-R&D戦略に沿って2年間で綿密にR&Dを行うことができると見込まれる。

また、今年はIP-R&Dの結果次第で、開発方向を変更する必要があれば、当初提出したR&Dの目標も柔軟に変更できるようにするなど、事業運営も成果の創出を中心に改善する。

特許庁産業財産政策局の局長は、「特許はスタートアップの中核資産であり、市場の競争には欠かせない」とし、「特許戦略に支えられ、革新的なスタートアップがグローバルな強小企業に成長できるよう、今後も中企部などと協業し、成功例を生みたい」と述べた。

中小ベンチャー企業部の技術人材政策官は、「「R&D + IP戦略」の共同事業は、各部処の専門性を生かした協力の良い事例だ」とし、「これからも技術開発の現場のニーズを反映して、スタートアップのためのさまざまな政策支援を提供したい」と述べた。

今年の「R&D + IP戦略」事業の申込期間は3月14日から3月28日までであり、手続きについては中小企業技術情報振興院外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます韓国特許戦略開発院外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますまでお問い合わせを。

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