知的財産ニュース 技術分野ごとに特許戦略を立て、スタートアップの競争力を強化する

2019年2月19日
出所: 韓国特許庁

特許庁と中小・ベンチャー企業部、水素産業、炭素複合材料など、5つの分野の共通コア技術に対するIP-R&D支援を共同推進

韓国特許庁と中小ベンチャー企業部(以下、中企部)がスタートアップの特許競争力強化に共同で取り組む。

両部処は2月18日、創造経済イノベーションセンター(以下、イノベーションセンター)が支援している各分野のスタートアップへの「企業群の共通コア技術IP-R&D(注1)」支援を共同推進すると発表した。

「企業群の共通コア技術IP-R&D」(以下、企業群IP-R&D)は、複数の企業が共通して必要とする新技術・あい路技術に関する特許戦略を導出し、共有・拡散するために、今年から新たに推進するものである。

これまで人材・資金不足で関連特許について把握できずに技術開発を進めてきた中小・ベンチャー企業に実質的に役立つよう、必ず知っておくべき各分野のコア特許を分析し、業界に提供する。

具体的には、海外の先導企業の特許を分析し、韓国のスタートアップに新技術に関するさまざまな情報を提供する一方、活用可能な特許技術のプールを構築し、後発者の製品開発戦略を支援し、有望なR&D課題も導き出す。

これまで特許庁は、個々の企業向けのIP-R&D(特許(IP)連携研究開発戦略)を支援することで、特許分析を基盤とする最適なR&Dの方向と優秀特許の確保戦略に関して企業にコンサルティングし、優秀な成果(注2)を収めてきた。

ただし、予算の制約があるため、一部の支援にとどまるほか、個々の企業が求めた特定の需要技術に関する特許を分析するため、他の企業の活用や業界への拡散が困難であった。

「企業群IP-R&D」は個々の企業への支援を各分野の企業群へと拡大し、もっと多くの企業が恩恵を受けられるようにしたものである。

今回の協業で、特許庁は「企業群IP-R&D」の企画および支援、中企部とイノベーションセンターはスタートアップ群の需要発掘、IP-R&Dの結果の共有・拡散および導出された有望課題のうち、推薦課題に対するR&D支援などの役割を担当する。

企業群IP-R&Dには韓国特許戦略開発院の特許戦略専門家(PM)、特許分析機関、産学研の専門家などが参加して、今年10.5億ウォンの分析費用を投じ、全国17のイノベーションセンターを対象に課題を選定して支援する。企業群IP-R&Dから導出された有望なR&D課題については、最大40億ウォンの中企部のR&D(注3)資金を連携して支援する予定である。

支援分野は各イノベーションセンターが事前に需要調査を行い、水素産業、エネルギー新産業、炭素複合材料などの産業エコシステム構築と、スタートアップ育成が急務となっている新産業分野が選ばれた。

各イノベーションセンターは3月8日までに当該分野のスタートアップが必要とする共通コア技術のテーマを発掘し、複数の参加企業とともに事業遂行機関である韓国特許戦略開発院に申請すれば良い。

企業群IP-R&Dには共通コア技術のテーマに興味のあるスタートアップだけでなく、中堅企業や大学など、地域の他の革新的な主体も参加し、最新技術の特許分析を共有して協業のチャンスを見つける「オープンイノベーションの場」の役割も果たす見通しである。

特許庁産業財産政策局の局長は、「個別支援を受けられない脆弱な企業も、企業群IP-R&Dを通じて必要不可欠な特許戦略を策定できる」とし、「特に今回、中企部との協業はスタートアップの革新技術の開発にも大いに役立つだろう」と述べた。

中小・ベンチャー企業部創業振興政策官は、「今後も中企部は有望技術を基盤とするスタートアップがグローバル市場で特許競争力を確保し、成長できるよう、特許庁との協力を強化していきたい」と述べた。

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