知的財産ニュース 「スターバックスコリアが特許侵害」、韓国初の電子レシートをめぐる訴訟

2019年2月14日
出所: 電子新聞

Tom&Toms、ロッテメンバーズ、LGテレコムなど大手企業の電子レシート事業を代行する情報技術(IT)スタートアップ、ザ・リアルマーケティング社がスターバックスコリアを相手取って特許侵害訴訟を提起した。

最近、簡便決済を利用するユーザーが増え、紙の領収書の代わりに電子レシートを発行するケースが増えている。数千億ウォン規模の電子レシート事業をめぐる初めての大型特許訴訟である。

両社は法務法人を選任し、訴訟の準備を進めている。

2月14日、法曹業界によると、ザ・リアルマーケティングは特許法人インベンシンク(invenSync)を法律代理人として選任し、ソウル中央地方裁判所にスターバックスコリアを相手取って特許侵害訴訟を提起した。

内容証明と訴状を見ると、ザ・リアルマーケティングは自社が特許出願した「電子レシート発行方法」の特許権をスターバックスアプリケーションの電子レシートサービスが侵害し、大きな被害を受けていると主張した。ザ・リアルマーケティングはスターバックスアプリの電子レシートサービスの使用や譲渡、貸与を差止め、違反行為を行った1日当たり100万ウォンを支払うことを訴状に記録した。

ザ・リアルマーケティングの代表は、「特許法人を通じて、2011年に初めて電子レシートを披露した自社の特許をスターバックスコリアが無断で盗用した疑いがある」とし、「年間700億ウォンに達するロイヤリティを海外に支払う大企業によるアイデアの盗用に警鐘を鳴らすために、訴訟を起こした」と訴訟の背景について説明した。

スターバックスコリアも訴訟に備え、法務法人太平洋を法律代理人として選任し、訴訟の準備を進めている。

ザ・リアルマーケティングは2011年10月、電子レシートの発行方法に関する特許(第10-1255142号)を出願・登録した。顧客が物品を購入したり、サービス提供を受けたりした後、顧客の移動端末に支払い履歴が含まれた電子レシートと情報が発行される方式である。

特許の内容は、個人識別情報を含む電子レシートの発行を申込んだ会員が登録情報を入力、登録時に個人識別キーでバーコードやQRコードを作成し、顧客の移動端末に転送、バーコードやQRコードを読み取って転送した後、決済承認を要請、決済ごとに個別認証番号を生成、電子レシートの発行案内データをその顧客の移動端末に転送、支払い履歴の電子レシートを作成・保存、電子レシートの情報をバックアップして保存することを含む、電子レシート提供方法に関するものである。 

ザ・リアルマーケティングは、このすべての過程をスターバックスコリアが侵害したと主張している。

これに対し、スターバックスコリアの法律代理人である太平洋は、ザ・リアルマーケティングの主張がどのような侵害に該当するのかを把握しにくいうえ、恣意的に解釈して特許侵害を主張するという極めて不当な結論を導き出したと反論した。

太平洋は、「QRコードは登録段階で認証サーバーから生成されるものではなく、顧客が決済する度に新たに作成され、10分間のみ有効な決済手段に過ぎない」とし、「個人識別キーである特許のバーコードやQRコードとはそもそも性格が全く違う」と対抗した。続いて「いくつかの主要構成と技術的特徴のみ見ても特許侵害に該当しないため、根拠のない特許権侵害を継続的に主張すれば、スターバックスコリアも権利範囲確認審判および無効審判などの措置を取る」と述べた。

一方、ザ・リアルマーケティングの法律代理人であるインベンシンクは、「特許権を侵害しているスターバックスコリアはアプリのサービスを自ら中止するとともに、過去の侵害分を賠償し、今後、特許侵害行為をしないと約束する文書を提出しなければならない」と主張した。

ザ・リアルマーケティングはスターバックス以外にもSPCなど電子レシートを導入した加盟店に対する訴訟も検討している。最近、大手流通企業とフランチャイズが電子レシートを相次いで導入しており、今回の判決次第では大規模な訴訟が相次ぐ可能性もある。

電子レシートはモバイル決済、クレジットカードポイント、現金まで店頭で使われる、あらゆる決済手段による購入品目が含まれる領収書を発行するサービスである。販売店、購入時期、購入品目、支払金額などのビッグデータを集め、紙の領収書を代替することができるため、主な流通店などで導入されている。  

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195