知的財産ニュース 韓国大法院「公取委によるクアルコムへの課徴金賦課、一部は違法。高等法院で再審理せよ」

2019年2月11日
出所: 電子新聞

韓国の公正取引委員会(以下、公取委)は2009年、クアルコムによる公正取引法違反(独占禁止法)を摘発して2,732億ウォンの課徴金を賦課した。これに対し、大法院(最高裁)は一部問題については課徴金賦課が間違っているとしてソウル高等法院(高裁)に再審理を命じた。

大法院1部は2月11日、クアルコムが公取委を相手取った是正命令と課徴金賦課処分取消訴訟の上告審で、「LG電子に無線周波数(RF)チップのリベートを提供していた行為に対して課徴金を賦課したのは適法だ」という原審を破棄し、ソウル高等法院に差し戻したことを明らかにした。

公取委は、2009年にクアルコムの公正取引法違反を摘発して課徴金2732億ウォンを賦課した。その理由には、CDMA移動通信技術を携帯電話メーカーにライセンスするなか、競合他社のモデムチップを使用すれば、差別的に高いロイヤリティを請求すること、携帯電話メーカーにCDMAモデムチップ・RFチップを販売するなか、需要量のほとんどを自社から購入させるという条件でリベートを提供すること、CDMA移動通信技術を携帯電話メーカーにライセンスするとともに、対象特許権が消滅したか、効力がなくなった後も、従来技術のロイヤリティの50%を継続して受け取られるようにする3つの約定がある。

大法院は、LG電子にリベートを提供していた疑いについては、ソウル高等法院の判断に問題があると結論付けた。

クアルコムは2000~2009年にサムスン電子、LG電子などにモデムチップとRFチップの需要の一定量以上を、自社製品を購入させるという条件で四半期ごとに数百万ドルのリベートを提供していた。ただし、2000年7月~2005年6月、2007年1月~2009年7月にはLG電子にのみRFチップ関連のリベートを提供していた。

裁判所はLG電子へのリベート提供に関連し、「2006~2008年に携帯電話販売市場に占めるLG電子の国内CDMA2000方式のシェアは21.6~25.9%程度に過ぎなかった」とし、「LG電子が40%以上のシェアを持つという前提でRFチップのリベートを提供していた行為で、40%の市場封鎖効果が認められると判断した原審は違法だ」と判断した。

大法院の判決に関連して公取委は、一部が敗訴しただけで事件全体で見れば、80%以上は公取委が勝訴したと判断していると説明した。

公取委関係者は、「大法院の判決は一部についてソウル高等法院で再審査することを求める趣旨だ」とし、「訴訟を継続する実益があるかなどについて検討する」と述べた。

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