知的財産ニュース 特許庁、新年に変わる制度・支援施策を発表

2019年1月2日
出所: 韓国特許庁

国民の利便性向上、中小企業のイノベーション成長の支援、公正な経済の実現に焦点

韓国特許庁は、特許審判への国選代理人選任制度の導入、懲罰的損害賠償制度の施行、知的財産(IP)金融活性化対策の推進などを骨子とした「2019年新たに変わる知的財産制度・支援施策」を新年初日に発表した。

新年から変わる知的財産制度は、社会的弱者への支援と国民の利便性向上、中小・ベンチャー企業のイノベーション成長支援、技術奪取の根絶に伴う公正な経済の実現などに重点を置いている。

詳細は次のとおりである。

社会的弱者への支援と国民の利便性向上

  • 特許審判への国選代理人選任制度の導入
    知的財産保護に脆弱な社会・経済的弱者(小企業、大企業と紛争中の中企業、若手起業家、障害者など)を対象に国選代理人の選任を支援し、国選代理人を選任する当事者の審判手数料を減免する(2019年7月施行)
  • 過誤納特許手数料の自動返還
    これまでは出願人の返還請求がなければ、過誤納特許手数料を返してもらうことができなかったが、特許手数料の手続きを改善して出願人が払戻口座を事前に登録しておけば、別途、返還請求をしなくてもその口座に振込する(2019年1月施行)
    ※事前登録を希望しなければ、従来の手続きに沿って行われる
  • 国際特許出願手続きの簡素化
    国際特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際特許出願の手続きをe-PCT(世界知的所有権機関(WIPO)が提供するオンライン上のサービス)で一度に踏むことができる(2019年1月施行)
    ※現在は、WIPOのe-PCTで出願書を作成した後、韓国の特許出願ウェブサイト(特許路)に別途出願書を提出する

中小・ベンチャー企業のイノベーション成長支援

  • IP担保・保証貸出の活性化
    スタートアップ向けIP保証商品の保証割合の引き上げおよび貸出金利の引き下げ商品(注1)を発売し、優秀なIPを保有する技術集約型中小企業など向けIP担保貸出を実施する銀行を拡大(注2)する(2019年上半期予定)
  • 特許共済事業の施行
    中小企業が海外出願、特許訴訟など、知的財産の資金リスクに効果的に備えられるように、「先に貸与し、後で分割返済する」形式の特許共済を導入する(2019年上半期予定)
  • 共通の中核技術へのIP R&D支援
    多くの中小企業が共通して必要とする新技術や隘路技術に関する特許分析を体系的に行い、各分野の企業群全体の技術習得及び特競争力の強化を図る(2019年1月施行)
  • 職務発明補償金の非課税拡大
    職務発明補償金の所得税非課税の限度を従来の300万ウォンから500万ウォンへと引き上げ、非課税の対象に「産学協力団から学生が受け取った補償金」を追加(2019年2月施行)

技術奪取の根絶に伴う公正な経済の実現

  • 懲罰的損害賠償制度の施行
    他人の特許権や営業秘密を侵害する場合、損害額の3倍以内で損害賠償額を認めることができ、侵害者が得た利益全額を特許権者に返す制度を導入し、知的財産権の侵害に対する損害賠償を強化する(2019年7月予定)
  • 営業秘密管理の負担軽減
    中小企業による営業秘密の立証要件を緩和するとともに、刑事処罰の類型を拡大し、罰則を強化する(注3)(2019年7月予定)
  • 特司警の取り締まり範囲の拡大
    商標権の侵害事件に限られている特許庁特別司法警察の捜査管轄を特許・営業秘密・デザイン侵害にまで拡大(2019年3月施行)

他に注目すべきニュースでは、大田の創意発明体験館を改装してオープン(2019年2月 12日)、仁川松島で開催される五大特許庁会合(IP5)(2019年6月12日)などがある。  

特許庁のスポークスマンは、「IP金融活性化対策、懲罰的損害賠償制度など、新たに施行されるか、変わる政策に対して国民とのコミュニケーションを図るとともに、政策を発信していきたい」とし、「知的財産サービスを持続的に改善し、イノベーション成長と公正な経済の実現に貢献したい」と明らかにした。

特許庁長は1月2日(水曜)、スポークスマンは3日(木曜)、午後4時にフェイスブックとユーチューブで配信するソーシャルトークショー「4時!特許庁です」に出演し、変わる制度について広報する予定である。また、重要な案件については今後、政策担当者が自ら出演して説明し、国民との意思疎通を図る計画である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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