知的財産ニュース 国家知識財産委員会、2020年政策イシューの総合発表会を開催

2019年11月7日
出所: 科学技術情報通信部

ビッグデータの処理・分析過程上の著作権侵害の免責など、
知的財産(IP)政策イシューについて対政府提案

大統領所属の国家知識財産委員会(以下、‘委員会’)は、11月7日午後2時、インターコンチネンタルCOEXで「2020年知的財産政策イシュー総合発表会」を開催した。

本発表会で、委員会傘下の5専門委員会(創出・保護・活用・基盤・新知的財産)の委員は、現場経験を基に直接発掘・研究した「2020年知的財産政策イシュー」の研究結果を発表した。

今年は、2020年に進める政策課題として、「ビッグデータの保護および活用促進に向けた法的課題」など、知的財産に関する10個のイシューについて改善方策を研究した。

イシュー(1)ビッグデータの保護および活用促進に向けた法的課題:ビッグデータの処理・分析過程で起こり得る著作権侵害に対する免責の適用など、関連法制度を改善

イシュー(2)第四次産業革命時代に相応しい実用新案制度の改善方策:技術のライフサイクルがますます短くなっているソフトウェア(SW)技術に対し、実用新案制度を適用することができるよう、審査制度を改善する方策

※実用新案制度は具体的な形態を持っている物品だけを保護対象としている。

イシュー(3)初期の中小ベンチャー企業の支援に向けた知的財産の特例上場制度(※)の導入:研究開発の成果を拡散し、創業を活性化するために、優秀なアイデアを保有する創業初期の企業に対する知的財産の特例上場制度を導入

※特例上場制度:成長可能性が高い企業が株式市場に上場できるよう、上場審査の基準を下げる制度

イシュー(4)公共機関のSWライセンスの運営方策の点検およびガイド:公共機関などにおいて、情報技術(IT)の資産管理についての認識不足で発生するSW著作権侵害を予防するために、IT資産実査およびIT資産管理システムを導入

イシュー(5)パテントボックス(patent box)制度の設計および改善方向:企業の研究開発成果を拡散し、事業化を高めるために、政府の研究開発(R&D)事業の結果物、サンドボックスの適用製品などを対象に、特許が適用された製品の売り上げに税額を減免

イシュー(6)職務発明関連補償金の算定において、新たな「使用者の利益額」の算定法理を提示: 職務発明は会社と職員間の協力の成果であるため、これを実施・活用して得た会社の利益額、発明者の貢献度、持分率を基準にして補償金を算定する方法を提案 

※現在はケースごとに法院の算定方法が相異

イシュー(7)業務上著作物の法制度の改善方策:現行の業務上著作物は、創作者である労働者に法律上の地位や権限がないため、業務上著作物に創作者の帰属原則を適用するものの、企業に対しては譲渡推定をするよう著作権法を改正

イシュー(8)IP基盤創業の成功要因の分析による革新創業の先導モデルを樹立:創業者のアイデアと公共研究機関の特許を組み合わせ、事業モデルを設計したり、理工系修博士の研究成果に対する権利化などを通じて、活用度を高める新たなIP基盤創業モデルを提案

イシュー(9)韓国製薬会社の米国First Genericの独占権を確保するための政策を提案:特許回避などによるジェネリック許可申請者に180日間、米国市場の独占権を付与する、米国のジェネリック医薬品許可申請制度に挑戦する韓国製薬会社を対象に、関連のデータベース(DB)を提供し、挑戦に失敗した時の支援方策を提案

イシュー(10)グローバル環境変化によるIP中心対応システムの構築に関する方策:重要国家別の技術・IP市場の動向分析と関連DBシステムの構築を通じて、企業の海外進出とグローバル市場での知的財産の対応を支援

委員会は、発掘した2020年度政策イシューに対する関係部処の来年度の推進計画(案)をまとめ、来年3月、委員会に想定する予定である。

知的財産専門家による5の専門委員会は、委員会の政策諮問機能を強化するために、2014年から毎年、時宜にかなうテーマを自主的に発掘・研究し、その結果を政策化の課題として関係部処に提案してきた。

2014年度から今年まで、関係部処に計45の政策イシューを提案しており、27のイシューが推進完了した。(2019年3月基準)

主な推進課題には、2017年度の政策化課題である「人工知能技術および産業関連の知財権に関する深層分析および対応方策」について、人工知能分野で源泉・標準・有望な特許の確保が可能な細部技術分野を導き出し、関係部処から「有望な新知識分野の重点知的財産の確保戦略」を委員会に想定したことがある。

また、2018年には「3D図面データの違法コビーの防止および体系的管理に関する方策」を提示し、3D図面データなど、デジタル手段による侵害誘発行為を間接侵害として規律することができるよう、特許法の改正を進めている。

委員長は、総合発表会の開会の辞で「国家の経済を復興させるのは『優秀な技術力』と『知的財産』である」としつつ、「政策イシューの発掘による現場の専門家と政策の実行者間のフィードバックが、先導的な知的財産政策を実現する土台になると期待している」と強調した。

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