知的財産ニュース 海外市場進出の橋頭堡、PCT国際出願活発

2019年7月23日
出所: 韓国特許庁

直近5年間(2014年~2018年)の特許庁受付の国際特許出願の動向を分析

特許庁によると、直近5年間で特許庁に申請のあったPCT国際特許出願(注1)は、2014年の13,138件から、2018年は年平均6.6%増の16,991件へと大きく増加した。

このような国際特許出願の急成長は、グローバル市場における知的財産の重要性が次第に増しており、国内大企業、中小企業、大学などで海外出願に対する関心が高まっている結果と解釈される。

出願人の類型別でみると、まず大企業の出願件数が直近5年間で年平均8.6%急増して、全体の40.3%を占めており、大企業が国際特許出願を主導していることが判明した。同じ期間の大企業の国内特許出願は、2014年の45,986件から2018年は35,240件と、年平均6.4%減少したが、直近5年間の特許出願の1,047,583件のうち194,463件で全体の18.5%となっており、大企業の特許戦略は国内市場からグローバル市場での競争力強化に注力する方向へ舵を切ったとみられる。

中小企業、個人はそれぞれ全体の24.0%、13.4%の占有率となっており、これらの出願はそれぞれ年平均6.0%、1.2%増加した。これは大企業を中心に発生した海外特許紛争が最近、中小企業へ拡大されたことで、中小企業や個人の海外進出時の特許権確保への認識が高まった結果とみられる。

大学は、直近5年間で全体の8.4%を占めたが、出願件数が年平均9.3%増加しており、大学においても海外出願に対する関心が急増していることが分かった。

直近5年間の出願人をみると、大企業ではサムスン電子(9,232件)、LG電子(8,527件)、LG化学(4,581件)の順であり、これらの企業が全体の29.4%と国際特許出願で相当な割合を占めている。特に、LG化学の場合、出願件数が大企業の年平均の増加率(8.6%)より、はるかに高い14.3%と急増していることが目立った。

一方、中小企業では、AMOGREENTECH(262件)、大学ではソウル大学産学協力団(570件)が最も多く出願した。

主要技術分野別では、直近5年間、デジタル通信(件数:8,650件、占有率:11.4%)、電気機械(6,407件、8.4%)、コンピュータ技術(5,098件、6.7%)、医療技術(4,176件、5.5%)の順となっており、これらの分野で海外市場進出のための特許出願が活発であった。

特許庁国際特許審査出願審査2チーム長は、「最近、海外出願に対する関心が高まっており、これからも国際特許出願は増加するものと予想される」とし、「韓国企業の海外での特許権確保の助けとなるよう、国際特許出願の審査サービスの改善に向けて続けて努めていく」と述べた。

※年度別・出願人類型別の詳細は添付ファィル1PDFファイル(57KB)を参照

(注1)特許協力条約(PCT)による特許出願により、一つの出願書を提出することで世界の加盟国(2017年7月時点152ヵ国)に同時に特許を出願した効果を持つ。特許協力条約は、特許に関する海外出願の手続きを簡素化し統一化するための国際条約として、出願人は特許庁が提供する国際特許出願の審査結果を受けて、最初の出願日から30ヵ月以内に外国での現地出願の有無を決めることができる。

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