知的財産ニュース 曲がるガラス、透明フィルムがフォルダブルフォンの未来をひらく

2019年6月17日
出所: 韓国特許庁

ディスプレイの中核素材、ポリイミド(PI)フィルムの特許出願増加傾向

最近、サムスン電子、LG電子、アップルなどのグローバル企業がフォルダブル・スマートフォンの技術開発に拍車をかけており、次世代ディスプレイの素材として「曲がるガラス」と呼ばれる「ポリイミド(PI:Polyimide)フィルム」に対する市場の関心も高くなっている。

フォルダブルフォンは、言葉通り曲がるディスプレイを搭載したスマートフォンである。市場調査会社のStrategy Analyticsによると、フォルダブルフォンの需要は、2019年の320万台から2022年は5,010万台まで拡大される見通しである。

フォルダブルフォンは、折りたたむ開閉動作から特性上、カバーウィンドウ、TFT基板、ベースフィルムなどの全てに新素材が必要である。透明PIフィルムは、他の素材に比べて機械的、電気的および化学的物性が優秀であるため、ガラスの代替材とされている。そのため、数十万回の折りたたむ開閉動作でも、傷が付かなく軽量で柔軟であるため、スマートフォンはもちろんノートパソコンなどにも適用可能である。

特許庁によると、 PIフィルム関連分野の特許出願が直近5年間で順調に増加している。

2014年は60件に過ぎなかったが、直近2年間(2017~2018)は年平均で約37%増加しており、2018年は150件まで急増した。

単に出願の件数だけ増加したわけではない。急速な技術変化に対応すべく特許権の先取り、特許の早期確保のために優先審査申請の割合も増加傾向にある。

出願人の類型をみると、国内企業の出願が全体の60.9%で最も高い割合を占めており、その次に日本企業による出願が25.3%を占めている。

適用対象別でみると、ディスプレイのカバーウィンドウ用途が116件(24.9%)、 薄膜フィルムトランジスタ(TFT)基板・ベースフィルム用途が276件(59.2%)で大半を占めている。カバーウィンドウの場合、フォルダブルフォンの開発と相まって2016年以降出願が4倍以上増加した。これは、国内外の主要企業が市場での主導権を握るため、中核特許の取得に力を注いでおり、この傾向は今後も続くとみられる。

特許庁精密化学審査課長は、「フォルダブル、ローラーブル、ストレッチャブルなどへと、急速に進化する次世代ディスプレイ市場の流れを考慮すれば、 PIフィルムに対する需要は今後も持続的に増加するものとみられる」とし、「市場で優位に立つために、企業間の競争はさらに熾烈になる。素材分野における中核特許の先制的な取得が非常に重要である」と述べた。

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