知的財産ニュース 海外商標権の確保はマドリッド出願を利用して!

2018年10月29日
出所: 韓国特許庁

韓国特許庁は、韓国でマドリッド国際商標出願(*)が始まった2003年から2017年までの15年間、マドリッド出願の伸び率は年平均6.4%となっていると発表した。

一方、マドリッド制度を利用して外国に出願した韓国企業の割合は年平均17.9%伸び、外国で韓国を指定したマドリッド出願も年平均17.7%の伸び率を示した。これは、海外での商標権確保を希望する韓国企業だけでなく、韓国で商標権確保を希望する外国企業もマドリッド制度を利用して国際商標出願を着実に増やしているといえるだろう。

マドリッド制度を利用して韓国で外国に出願した件数は、2003年の105件から2017年1,053件へと増加し、15年間計7,192件が出願された。

出願人別に見ると、サムスン電子が185件と最も多く、次いで現代自動車が160件、オステムインプラントが61件であった。出願人を類型別に見ると、中小企業46.1%、個人24.4%、中堅企業15.7%、大企業12.2%などの順となり、規模が大きい大企業より中小・中堅企業や自営業者による出願が相対的に多いことが分かる。特に、中堅企業であり、歯科医療機器メーカーであるオステムインプラントの場合、2015年までの出願件数は6件に過ぎなかったが、2016年21件、2017年34件と急増し、最近マドリッド出願を積極的に活用していることが分かった。  

指定国別に見ると、中国(9.2%)、米国(9.1%)、日本(8.2%)、欧州連合(5.8%)の順であった。

商品別に見ると、半導体・ディスプレイ・スマートフォンなど、韓国の強い分野である電気・電子・通信機器(13.2%)に関する出願件数が最も多く、次いで衣類・靴・帽子(8.3%)、化粧品・洗剤(8.2%)の順であった。特に、2017年には化粧品・洗剤分野の出願(296件)が電気・電子・通信機器(270件)分野を抜き、1位となった。その背景には「K‐ビューティー」など韓流の影響があるとみられる。

一方、同期間、外国で韓国を指定国としたマドリッド出願件数は計136,878件であった。2003年の1,467件から2017年には14,362件へと増加し、2017年には前年に比べて27.6%増加した。出願人を国籍別に見ると、米国(17.2%)が最も多く、続いてドイツ(15.4%)、日本(8.8%)、フランス(8.7%)の順であった。業種別に見ると、電気・電子・通信機器(11.7%)、衣類・靴・帽子(6.1%)、デザイン・研究・ITサービス業(5.4%)などが出願され、外国企業は韓国の電気・電子・IT産業とファッション市場に関心が高いことが分かった。

韓国でマドリッド制度を利用した出願が急増しているのは、韓国企業がコストと管理の面で有利なマドリッド制度のメリットを認識し、それを適切に活用しているためである。 マドリッド出願は指定国ごとに代理人を選任する必要がないためコスト削減ができ、一つの言語(英語)で海外商標出願手続を踏むことができ、商標権の権利関係の変動も一括で処理することができる。

特許庁商標デザイン審査局の局長は「海外市場を先取りするためには、進出したい国での商標権確保が重要だ」とし、「その方策として海外商標出願手続が簡単でコスト削減ができるマドリッド出願を積極的に活用する必要がある」と述べた。

特許庁は10月31日、インペリアルパレスホテルSelenaホールで世界知的所有権機関(WIPO)と共同で、マドリッド国際出願制度の発展方向を模索するカンファレンスを開催する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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